米朝首脳会談は予想通り中止 (2)オーナー社長の交渉術

2018/06/02 2019/01/28

「予定通り、6月12日に米朝首脳会談をシンガポールで開催する」

と、トランプ大統領が発表しました。

米国の脅しを含んだ中止宣言に対し、北朝鮮のほうが慌てて擦り寄った格好です。

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なぜこんなことが起こるかというと、トランプ大統領がオーナー社長だからです。

自分の会社を経営するように、米国という国を経営しています。

オーナー社長には顔色をうかがう上司がいません。

過去のしがらみも関係ありません。

その時点でベストだと思う決断をし、責任を取るだけです。

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これまで北朝鮮は「交渉の席に着く」こと自体をカードにしてきました。

これは相手の担当者が「交渉自体を打ち切る」
という権限を持たない場合に限り可能な戦略です。

特にその上司が功を焦っている場合、
担当者は国益を害してでも相手を引き留めようと譲歩します。

単なる窓口に過ぎない担当者にとって、
交渉自体がボツになると自分の経歴に傷がつくからです。

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しかしトランプ大統領とそのスタッフは、そのような相手ではありませんでした。

こうなると北朝鮮のほうが困ります。

大国を振り回して来た偉大なる元首様が、慌てて媚びを売る姿を見られてしまうからです。

独裁国家の指導者は、ささいなことで権威が傷ついてしまいます。

それが政変につながるとすれば、命取りになりかねないのです。

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実際、北朝鮮からのメッセージは支離滅裂になりつつあります。

米国との話し合いに応じる一方で、ある高官は

「米国を攻撃できるICBMは全国120ヶ所に配備されている」

などと発言しているようです。

そんなことをすれば武力行使を招くだけなのに、
わざと今の政権を困らせるようとしているのです。

おそらく内部では融和派と強硬派が、激しく戦っているのでしょう。

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北朝鮮の核武装は、金正恩氏だけの希望ではありません。

北朝鮮軍や、中国北部戦区（旧瀋陽軍区）や、
他国で活動する親北勢力たちにとって長年の悲願なのです。

それを捨てる素振りをしただけで、クーデターが起こってもおかしくありません。

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米国との話し合いを妨害したい人々は世界各国に大勢潜んでいます。

たとえ6月12日に米朝首脳会談がセットされても、
金正恩氏がその場にたどり着ける保証はありません。

内部からの妨害で行けなくなったり、飛行機自体が飛ばなかったりするでしょう。

そのような事態になっても、全く別の理由をつけてドタキャンするはずです。

弊社は今でも、それが開催される可能性は低いと考えています。

（終）

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