仮想通貨の技術的問題 (1)ブロックチェーンは資産管理と相性が悪い
2019/01/28
このシリーズでは仮想通貨の「技術的」問題点について論じます。
したがって、技術的・法律的な用語が増えてしまうことをご容赦ください。
ブロックチェーンについてはそれほど詳しくないので、
門外漢の感想や印象に過ぎない部分があるかもしれません。
しかし大筋は外れていないと思います。
「本質的」「根本的」問題点については、
すでに下記書籍や過去メルマガでカバーし終えましたのでご参照ください。
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仮想通貨の中核技術となっているのはブロックチェーン(Blockchain)と呼ばれる技術です。
分散型台帳技術とも呼ばれます。
Wikipediaによると、以下のように説明されています。
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"ブロックと呼ばれる順序付けられたレコードの連続的に増加するリストを持つ。
各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。
理論上、一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。
ブロックチェーンデータベースは、
Peer to Peerネットワークと分散型タイムスタンプサーバーの使用により、
自律的に管理される。"
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"計算に時間のかかる値を最初に計算した者が、次のブロックを生成することができる。
あるブロックの内容は直前のブロックのハッシュ値に依存するため、
いったんチェーンに追加されたブロックを改竄することは
(それ以降のブロックを全て破棄しない限り)できないとされている。
要約値とも呼ばれるハッシュ値は、
データの同一性・関連性を認める際に目安となるが、その信頼性は衝突の頻度による。
ブロックチェーンに応用した場合は、
改竄でないデータを改竄として検出しないかどうか、
応用自体の正否に立ち入った検証を必要とする。
ブロックチェーンは孤児ブロックを検出すると、
ハッシュ値に基づく「多数決」によって正統な主鎖を決定し、
ブロック間の同期を確保する。"
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これを私なりに解釈すると
「起源と取引履歴をずっと保有し、
それを周囲に証明してもらうことで正当性を示す仕組み」
のように読めます。
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しかし資産管理システムを何度か作った経験から言えば、
これほどやりにくい設計はありません。
というのも、現時点の保有残高(スナップショット)が
正当であることを証明するために、
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1. 過去の取引(トランザクション)履歴をずっと遡らなければならない
2. そのためには、トランザクション履歴を失ってはならない
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という、気が遠くなるような条件が課されることになるからです。
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すると「取引するたびにデータは長くなり消すことは許されない」状態が続きます。
逆にトランザクションに瑕疵があったり、
書き換えられてしまえば価値を失ってしまいます。
さらに、いざ取引しようとしても「多数決」にかけてみないと
正当と認められるかどうかわかりません。
たとえ自分の財布(ウォレット)に入っていても、
自分が使えるカネかどうかわからないのです。
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この構造は、少し考えただけでも以下のような大問題を引き起こしてしまいます。
それぞれについては次回以降に詳しく説明します。
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1. 取引するたびにデータは長くなり、取引履歴の消去が許されない
2. 時間が経つにつれ取引認証に時間がかかるようになる
3. PC・ネットワーク・発電などへの負荷が等比級数的に増える
4. データ消失・途中取引の瑕疵・多数決などによって取引を否決されたら、
所有権そのものが否定される
5. つまり「動産占有の公信力」が通用しなくなり、
財産権の前提が根底から崩れる
6. 匿名性が守れない
7. 中央銀行による通貨供給や引き揚げなど、金融政策が困難になる
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ブロックチェーンの考え方そのものを、否定するつもりはありません。
素人考えですが、経路依存型のモデリングに使えば
面白い結果が得られるかもしれないと思ったりします。
(遺伝子・言語・家族制度の拡散過程など)
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しかしこと資産に関するシステムや法制度を考えると、
これほど相性の悪い組み合わせもないでしょう。
ブロックチェーンによって現在の資産管理に代わるシステムや
法体系を作ると想定しても、その「設計思想」が全く想像つかないのです。
むしろ長い歴史の中で否定されてきたヤバい方法で、
投資家保護の仕組みに穴をあけようとしているように見えます。
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仮想通貨は管理者や責任者が存在しない「民主的な通貨」だと主張します。
しかし民主主義であっても管理者や責任者は存在し、法的責任からは逃げられません。
今の金融システムや財産法は、政府管理のもとに責任者が投資家の財産を保護しています。
いまだに改良すべき点はあるにしても、無法地帯よりはずっとマシな世界なのです。
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一方、仮想通貨は「責任を取る人がいない」とされながらも
重要なことを決める「意思決定者」は存在します。
分岐(フォーク)やマイニング難易度調整などの重要事項は誰が決めているのでしょうか。
51%を占有すれば、他人の取引や所有を否定して自分の利益にできるのではないでしょうか。
通貨偽造は罪なのに、
裏付けのない電子アイテムに「通貨」と名付けて売り出すことは罪ではないのでしょうか。
私には「裏にいる人々が新しい技術にかこつけて、
投資家保護の柵の中から資金を抜き出そうとしている」ようにしか見えません。
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参考のためワイルドインベスターズ投資ブログをご覧ください。
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会員サイトではさらに盛りだくさんのチャート集があります。
気になるチャート20171124
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51241537.html
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