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週末だけのグローバル投資コラム

中国新型コロナウィルスの衝撃 (26)トランプ大統領も中国に失望。資本市場から弾き出すか

米国でのコロナ感染者はピークを過ぎてきています。

治癒者が増え、現存感染者が減ってきました。

死者はなかなか減りませんが、それはどの国でも同じ。

時間はかかるにしても、何とか終息方向へと向かっています。

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それに連れて、米中対立が激化して来ました。

トランプ大統領が中国について語るとき、これまでは非常に前向きでした。

しかし最近ではしょぼくれた顔をして、断交まで口にするようになっています。

「習近平氏との個人的な信頼関係があるから大丈夫」
との自信が揺らいできたのかもしれません。

中国に対して最も優しかった大統領が、
議会・共和党員・諜報機関などの声を聞き入れるようになりました。

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トランプ大統領は習近平氏と「今は話したくない」と述べ、中国との断交を示唆。

順調に米ソ冷戦時代に戻りつつあります。

また米国の会計規則に従っていない中国企業を「非常に厳しく注視している」とのこと。

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トランプ氏、中国主席と「今は話ししたくない」−中国と断交も示唆
Mario Parker
2020年5月14日 21:48 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-14/QABJM2T0AFB401
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NY証取やナスダック上場で米会計規則に従わない中国企業「注視」
新型コロナを巡って中国に「かなり失望した」−FOXビジネス

トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席について「いまは話をしたくない」と、
14日朝に放送されたFOXビジネスとのインタビューで語った。

さらに、中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか」
思案していると述べ、
「5000億ドル(約53兆5000億円)を節約できるだろう」との見方を示した。

ニューヨーク証券取引所およびナスダックに上場しながら米国の会計規則に
従っていない中国企業を
「注視している」とも主張、「非常に厳しく注視している」と述べた。

大統領のインタビューをツイッターで伝えたFOXビジネスのマリア・バーティロモ氏は
「注視」の具体的な内容については言及しなかった。(略)
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また連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)は、
中国を組み入れたベンチマークに変更する決断を先送り。

いろいろ理由をつけていますが、政権や議会からの圧力に配慮したのでしょう。

「米国自身の技術や資金を利用して米国を倒す」という中国の基本戦略が、
徐々に通用しなくなりつつあります。

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米連邦退職年金基金、中国株含む指数へのベンチマーク切り替え先送り
Jenny Leonard
2020年5月14日 3:58 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-13/QAA3O6DWX2QL01?srnd=cojp-v2
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米連邦政府職員の退職年金基金を運営する連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)は、
国際ファンドのベンチマーク切り替えを遅らせると発表した。

FRTIBはトランプ政権と一部議員から、
中国株を含む指数への切り替えを先送りするよう圧力を受けていた。

FRTIBが監督する確定拠出年金(TSP)は、
約500億ドル(約5兆3500億円)規模の国際ファンド「Iファンド」のベンチマークを、
MSCIオールカントリー・ワールド指数に切り替える予定だった。

同指数は中国を含む新興国市場株も反映する。

FRTIBは13日付の発表文で
「主に新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行の影響で著しく異なる経済環境に
置かれたため、また3人の新たなFRTIB理事会メンバーがさらなる検討を経て
指名されるため」、ベンチマーク切り替えを遅らせると説明した。(略)
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記憶力の良い方はお気づきでしょう。

米国の資金調達システムから中国を排除する動きは、すでに昨年10月から出ていました。

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- 中国企業を米国で上場させない

- 米国の公的資金から中国企業への投資を止める
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弊社もメルマガがブログで解説したその話が、改めて蒸し返されているということです。

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2019年10月05日07:30
【週末だけのグローバル投資】中国を米金融市場から締め出すか? (1)「米国上場禁止」より「株価指数からの排除」が致命的
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51264252.html
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【週末だけのグローバル投資】中国を米金融市場から締め出すか? (2)「インデックス投資が危険」という極めて例外的な局面
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51264397.html
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2019年10月19日07:30
【週末だけのグローバル投資】中国を米金融市場から締め出すか? (3)香港人権法可決で中国は後に退けない
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51264543.html
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2019年10月26日07:30
【週末だけのグローバル投資】中国を米金融市場から締め出すか? (4)運用規律と受託者責任。やはり中国株はグローバル指数から排除される
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51264699.html
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2019年11月02日07:30
【週末だけのグローバル投資】シリア内戦が終わり米国は中国対策に集中する (1)ウイグル人拘束非難・台北法・公的年金から中国株排除
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51264804.html

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当時は共和党のルビオ議員などが、
中国株の投資除外を米連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)に働きかけていました。

しかし結局、その目論見は実現せずに終わっています。

そして今回も「大統領令で止めるかも」と書いてあるということは、
目指していた立法化はいまだ出来ていないのでしょう。

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会員さん向け特別メール(20191115)
米年金はひとまず中国株投資を除外せず。議員は超党派で立法目指す。
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ただいま2019年11月15日 17:06です。

昨日の話になりますが、米国年金の中国株投資禁止法案に関し続報が出ました。

米連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)は、
中国株を含む全世界市場の指数に連動する外国株運用を開始するとのこと。

ルビオ議員はこれを「ばかげている」と批判しています。

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米公務員年金基金、中国株含む指数に連動した運用を決定 議員ら反発
ニューズウィーク 2019年11月14日(木)12時32分
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2019/11/253430.php
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米連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)は13日、
中国株を含むMSCI全世界市場(米国除く)株式指数に連動した
外国株式投資ファンドの運用を開始する方針を決定した。

FRTIBは連邦職員の退職金である連邦公務員向け確定拠出型年金(TSP)を
運用する政府機関。

中国企業に対する安全保障上の懸念が高まる中、
この運用方針を巡っては、議会上院の超党派グループなどが強く反対していた。

マルコ・ルビオ上院議員を中心とする超党派グループは今月、
公務員年金の中国株投資を禁止する法案を議会に提出。下院も同様の法案を提出している。

ルビオ議員は声明を発表し、この決定について「ばかげている」などと批判。

「米国の最善の利益のために行動することを拒否する動きだ」とし、
関連法案の早期可決を呼び掛けた。

FRTIBは同超党派グループに宛てた書簡で、
ここ数年にわたり先進国市場をアウトパフォームしている新興国株への投資は、
他のほぼすべての主要な公的・私的年金プランと合致しているとのコンサルタント会社の
助言を受けた決定だと説明。(略)
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FRTIBの決定は、平時であれば全く正しいです。

というのもパッシブ運用は時価総額に比例した
「市場ポートフォリオ」をベンチマークとするのが基本。

経済的合理性「だけ」で純粋に判断するなら、特定の市場を恣意的に外してはなりません。

その経済原則を曲げるのに、ルビオ議員たちの訴えはまだ弱いと判断されたのでしょう。

しかし今は「有事」であり、「安全保障上の要請」は「経済的利益」を上回ります。

そうでなければ国家として存続できないからです。

米国議員の多くが、米国の技術や資本を利用して
中国が他国を圧迫することを懸念しています。

議員たちはFRTIBを説得するのに失敗したとなれば、
法律制定を急いで中国株への投資を阻止しようとするでしょう。

仮にこの法案が成立すれば、先進国で中国株を買う人はいなくなります。

もちろん中国側はその法案が成立しないように働きかけるでしょう。

しかし超党派の議員が問題視しているとなると、無視を続けるにも限界があります。

将来的に中国株投資で損をした場合、
今回の決定をした人々は受託者責任を問われるかもしれません。

そうでなくとも国益に反すると見られたら、それだけで立場がマズイことになります。

今回のFRTIBの判断は尊重されるべきですが、基本的に中国株投資は控えるべきと考えます。(終)
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当時のトランプ大統領はその動きにゴーサインを出したものの、
前向きな感じではありませんでした。

おそらくそれを本当にやってしまうと、
習近平氏の機嫌を損ねて米中協議が止まってしまう可能性があったからでしょう。

トランプ大統領としては貿易交渉を有利に進めるカードぐらいにしか思っておらず、
本気でやる気はなかったのかもしれません。

香港デモのときも最初はそうでした。

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しかし中国は、合意第一弾締結後も約束を守る気がありませんでした。

交渉するフリで時間稼ぎを続け、
トランプ大統領の再選を阻止する工作ばかりやっていました。

トランプ大統領が「俺は習近平氏との関係を通じて中国をコントロールしている」
という自信は、かなり揺らいでいるでしょう。

騙されたと気付いた大統領が、
周囲の助言に従ってこのカードを切って来る可能性は去年よりもずっと高くなっています。

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これは弊社の読み筋どおり。

「いずれそうなるはず」という未来が、遅れてやって来ただけです。

ここまで来ればどんなに鈍い人でも、
中国との取引が危険であることを感じ始めていることでしょう。

弊社が言う「三大潮流」に逆らって沈まないよう、ご注意ください。

(終)

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参考のためワイルドインベスターズ投資ブログをご覧ください。
このメルマガに関連したチャートが貼り付けてあります。
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投資戦略動画(公開用)20200515
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51268885.html

中国新型肺炎(COVID19)国別対数グラフ 20200513時点 現存感染者数 7日移動平均など
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51268851.html

【週末だけのグローバル投資】日本・韓国・台湾・香港で新型コロナウイルスの被害が少ない理由「HLAハプロタイプ仮説」「SARS類似抗体仮説」
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51268827.html

【週末だけのグローバル投資】会員レポート2020年05月号リリース!「日本で今シーズンのコロナ終息。米国は資産バブル再開へ」
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51268783.html

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