やはり米中協議は物別れに (6)対墨関税は「不法移民対策」、対中関税は「独裁国家との戦い」
トランプ大統領はメキシコが不法移民に対応していないとし、
6月10日から5%の関税を課すと発表しました。
それを受けて米国とメキシコの間で協議が続いています(米墨協議)。
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米、メキシコに5%関税導入へ 不法移民流入続けば税率引き上げ
Reuters 2019年5月31日
https://jp.reuters.com/article/mexico-trump-tariff-idJPKCN1T100E
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メキシコ外相「関税回避で合意可」 3日から米と交渉
日経 2019/6/3 23:55
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45645900T00C19A6000000/
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メキシコ、移民問題解決に期待 大統領「米国との合意可能」
Reuters 2019年6月4日
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-mexico-idJPKCN1T425C
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これに対し、トランプ大統領を批判する人々がいます。
「また自由貿易を破壊している」
「経済のことが何もわかっちゃいない」
「損をするのはアメリカ国民」
しかしこの政策は、ゼニカネよりも大事なことがあるからやっているのです。
そして米中貿易摩擦とは全く意味合いが違います。
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もちろん米国としては、関税など課したくありません。
特にメキシコは米国経済ブロックに囲い込んでおきたい相手です。
お互いに面倒になって高いものを買わされるだけで、
「経済だけに限れば」良いことはありません。
米議会で反対の声が強いのも当然です。
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しかし国境を接するその国が、
不法移民をせっせと送り込んで来ているとなればどうなるでしょうか。
その光景は中間選挙前の「移民キャラバン」報道で見た人も多いはず。
メキシコ国内ばかりか、中南米から不法移民を運んでいるのです。
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トランプ大統領の公約のひとつに、
「メキシコとの国境を負担ゼロで作る」
というものがありました(2015年6月大統領出馬表明演説)。
不法移民によって治安や社会保障への不安が増大し、
国民の不満が高まっていたからです。
しかしそれを口にすると嫌がらせを受けるので、
みな「隠れトランプ派」として投票したのでした。
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この発言はのちに修正され、
連邦予算や国防予算から拠出されるようになっています。
しかし連邦予算は下院を支配する米民主党に抵抗され、
毎年難航することが予想されます。
そこで、この関税政策を考えたのでしょう。
関税を実際に払うのは米国民ですが、
米国に売るために値下げをすればその分はメキシコが支払うことになります。
メキシコが交渉に応じれば良し。応じなくても関税で費用を拠出する。
トランプ大統領はこのようにして、
何とか公約を果たそうとしているのでしょう。
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もちろんベストシナリオは、
メキシコも不法移民を減らすことに協力することです。
米国にとってはそれが目的なので、
話が進む限り関税引き上げもゆっくりしたペースになるでしょう。
メキシコが時間稼ぎをしたり、途中でちゃぶ台返しをしない限り、
宣言された25%にまで届きそうにありません。
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その意味で、米中協議とは全く意味合いが違います。
米墨交渉の本質は「不法移民対策」。
米中交渉の本質は「独裁国家との戦い」
両者の共通点は、関税を手段のひとつとしているというだけなのです。
おそらく経過も結果も全く違ったものになることでしょう。
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気になるチャート20190607
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