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週末だけのグローバル投資コラム

シリア内戦が終わり米国は中国対策に集中する (7)時間稼ぎ成功でも厳しくなる中国

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今回は会員さん向けメール

投資戦略アップデート(20191214)[特別] 今度こそ本当に合意?
中国に時間を与えつつ弱点を抉る米国

の公共性が高いと判断し、一部を公開するものです。

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今週は「第一段階の対中貿易合意」報道で株価が急上昇。

しかしそれらの話は米中両国の高官ではなく、「匿名の関係者」がソースでした。

私は「ほんまかいな」とずっと思っていたのですが、
昨夜からのニュースを読むとどうやら本当だったようです。

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米中が「第一段階」通商合意、関税発動猶予 米農産物購入拡大へ
Reuters 2019年12月14日 / 02:00 /
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-idJPKBN1YH1ZO
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トランプ米大統領は13日、米中が「第一段階」の通商合意に到達し、
15日に予定していた対中追加関税の発動を見送ると明らかにした。

発動猶予と引き換えに中国は米農産物の購入を拡大していくと強調。
さらに第二段階の合意に向けた交渉を直ちに開始すると表明した。

トランプ氏はツイッターで「米中は非常に大規模な第一段階協定で合意した。

中国は多大な構造的変革の実施や農産物、
エネルギー・製造業製品などの大量購入で合意した」と述べた。

米国は1600億ドル相当の中国製品に対する関税発動を見送るとともに、
1200億ドル相当の製品に対する関税を従来の15%から7.5%に引き下げる。

同時に2500億ドル相当の製品については25%の関税を維持する。

一方、中国は2017年の購入実績額である240億ドルを基準とし、
向こう2年間で米国産の農産物を320億ドル追加購入する方向で合意。

さらに製造業製品やエネルギー、サービスの購入も増やす。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、
中国が年500億ドルの農産物購入を目指すと約束したと明言した。

また中国の購入には特定の対象や目標があるものの、
公表すると市場を歪める恐れがあるため、公表はしないとした。
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条件をまとめると以下のような感じになります。

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(1) 12月15日に発動予定だった第四弾の関税残り分(1600億ドル)を先送り

(2) 従来の関税1200億ドル分の税率を15%から7.5%に引き下げ

(3) ただし2500億ドル分は25%のまま

(4) 代わりに中国に500億ドル分の農産物購入を求めるが、品目は公表しない。

(5) 中国は米国から製造業製品やエネルギー、サービスの購入も増やす

(6) 今回は中国の構造問題には踏み込まない
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今回の交渉については中国の勝利と言って良いかもしれません。

10月11日の合意発表から文書化させないまま二か月分の時間を稼いでなおかつ

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(1) 関税発動のさらなる延期

(2) 既存の関税を一部引き下げ

(6) 内政(構造問題)に踏み込ませない
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という米国の譲歩を勝ち取ったのですから。

二か月前の記事を読んでみると、
この間も話が全く進んでいない「ピーポ君」だったことがわかります。

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米、対中関税見送り 通商協議で部分合意
Reuters 2019年10月12日 / 04:38 / 2ヶ月前
https://jp.reuters.com/article/us-china-trade-talks-2nd-day-idJPKBN1WQ2JF
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トランプ米大統領は11日、米中が「第1段階」の通商合意に達したと発表し、
前日から2日間の日程で行われていた両国の閣僚級通商協議が部分合意に
達したことを明らかにした。

今回の「第1段階」では中国による米農産品の大規模購入のほか、
一部の知的財産権、為替、金融サービスの問題などについて合意。

さらに米国は15日に予定していた対中制裁関税引き上げを見送る。

また中国の購入には特定の対象や目標があるものの、
公表すると市場を歪める恐れがあるため、公表はしないとした。
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この「譲歩」によって、トランプ大統領は中国側に恩を売ろうとするかもしれません。

しかし中華文明ではそれを「米国の弱さによる譲歩」と考えます。

少なくとも文書化の文言だけであと三ヶ月は稼げます。

会談場所でもゴネて、サインを渋っているうちに米大統領選挙になります。

たとえサインしても、農産物購入や市場開放など実行しなければ良いのです。

北朝鮮が合意文書にサインしても全く守らないのと同じです。

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ところがトランプ大統領は全く損はしていません。

米中協議が始まる前に比べると、
単に「中国製品に関税をかけて農産物を買わせる約束をした」だけ。

関税をかけてみたら意外と米国内にもダメージがあり、
手加減したい気持ちもあるのでしょう。

そしてトランプ大統領は中国の構造問題にはあまり関心がないのかもしれません。

あるいは内政まで手を突っ込まれると中国がイヤがることを知って、
カードに使っただけかもしれません。

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一方で米国は着々と、これまで中国に与えていた特権を剥奪しつつあります。

今週はWTO上級委員の補充を拒否し、WTOが機能不全に陥りました。

米国はWTOが国家の主権を超越し、
なおかつ中国などの自称新興国に甘いことにフラストレーションを抱えています。

米国の支援によって経済を成長させた中国は、
その援助ルートをまたひとつ断ち切られようとしているのです。

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WTO、紛争処理が機能停止 米拒否で委員不足に
日本経済新聞  2019/12/11 5:05
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53203290R11C19A2000000/
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世界貿易機関(WTO)で10日、
「最高裁判所」に相当する上級委員会の2人のメンバーの任期が満了を迎えた。

11日からは1人となる。

国どうしの通商紛争の審理が事実上できなくなり、
WTOの重要な柱である紛争処理機能が停止する。

貿易の番人と言われるWTOの機能不全は、自由貿易体制に影を落とす可能性がある。

上級委(7人で構成、任期は4年間)は2017年から欠員が続いている。

WTOのルールでは一つの案件の審理には3人が必要。

委員不足で上級委の機能が停止するのは、1995年のWTO発足以来初めて。

問題の背景には、米国が委員の補充や再任を拒否し続けていることがある。

米国は上級委が国内法の解釈にまで言及したりするなどして
「権限を越えている」と批判する。

さらに上級委は原則90日以内で最終判断を出さなければならない規則があるが、
近年は1〜2年以上かかっており、審理時間が長すぎることへの不満も募らせている。(略)
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会員さん向けメールからの引用はここまで

残りを含む全文は来月の会員レポートDEEP INSIDE 2020年01月号に再掲予定です。
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米国の技術・資金から切り離されると、中国は厳しいことになります。

たとえ米国が関税をすべて撤廃しても、その状況に変わりはありません。

時間稼ぎにはまんまと成功した中国ですが、
ファンダメンタルズの悪化が重くのしかかります。

株価も長期的にはそれに従うしかないのです。

(終)

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