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週末だけのグローバル投資コラム

米中通商協議のゆくえ (3)トランプ大統領とライトハイザー氏への「離間策」

中国の第13期全国人民代表大会(全人代)が開幕しました。

そこで2019年の実質GDPの成長率目標を「6.0-6.5%」に設定され、
前年の目標「6.5%前後」から引き下げられました。

貿易の鈍化・不動産市況の変調・高齢化などが影を落としているのでしょう。

ただでさえヤバいのに、米国と争っていることでさらに危うくなっています。

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一方、北朝鮮との首脳会談で「ノーディール」を選択したトランプ大統領。

中国との交渉では担当者であるライトハイザー米国通商代表部(USTR)代表との軋轢が噂されています。

ライトハイザー氏が「中国とは覚書を交わせば良し」とするのに対し、
トランプ大統領は「それでは意味がない」と難色を示しているとのこと。

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トランプ大統領、ライトハイザー氏への不満爆発−米中交渉で焦り
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-24/PNFVQX6JTSEA01

(略)  両者の不満は22日、訪米中の中国交渉団や米側の関係者、
記者団を前にして表面化。

米中の合意は覚書の形になるとのライトハイザー氏の説明に、
トランプ氏が「覚書は好きではない。何も意味しないからだ」と
批判したことから始まった。

ライトハイザー氏は覚書は法的拘束力があると反論し、
トランプ氏の逆鱗に触れた。(略)
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しかし私には、両者とも正しいことを言っているように聞こえます。

ライトハイザー氏は

「(貿易赤字も大事だが)知的財産権と技術移転分野の約束が重要」

「最も難しいのは中国に合意を守らせること」

と述べており、交渉後が重要であることを理解しています。

ムニューシン財務長官が発表した米中通貨合意にも慎重な立場です。

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ライトハイザー米通商代表:対中通商合意にはなお多くの作業が必要
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNLVPP6KLVRB01
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(略)同代表は、自分が望むのは特に知的財産権と技術移転の分野で
経済の深い構造改革を実施するとの中国の約束が取り付けられた履行を
強制し得る合意だと説明。

しかし合意で最も難しい部分は、中国に確実にルールを順守させる
メカニズムになるだろうとし、合意後も実務レベル協議を定期的に開くほか、
閣僚級協議を半年に1回開催する計画を示した。

中国が違反した場合には、「相応」で「一方的」な対応を迅速に
行うことになるだろうと述べた。(略)
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ライトハイザー米通商代表、中国との通貨合意により慎重な立場示す
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNLRJR6KLVR401
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(略)ムニューシン米財務長官は22日、
米中は「通貨に関してこれまでで最も強力な合意の1つ」を
結んだと語っており、ライトハイザー代表のこの日の発言は後退を示した。

ただ、ムニューシン長官は、より幅広い貿易合意の一部になる通貨合意には
「多くの問題」に関する作業が残っているとも述べていた。
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一方トランプ氏は、昨年6月の米朝首脳会談に何の意味もなかったことを
思い知りました。

中華文明圏では条約や法律ですら守られないのですから、
文書にサインしたところで何の意味もありません。

中国からも同じ手口で時間稼ぎをされ、
約束が守られないことを恐れているのでしょう。

そのことは今の日本では「常識」となってしまいましたが、
世界には騙される人がまだ大勢います。

トランプ氏がそれに9ヶ月で気付いたとすれば、
学習能力は高い方だと言えるでしょう。

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中国シンパの人々は、トランプ大統領とライトハイザー氏に
「離間策」を仕掛けているのでしょう。

米国内で内輪揉めしてくれたら、交渉は中国有利に運ぶからです。

トランプ大統領が合意を焦って、
ライトハイザー氏をクビにするように仕向けるかもしれません。

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しかし米国は深いところで、「覇権の維持」で挙国一致しています。

いまや米民主党にまで中国への警戒論が広まっているのです。

中国がこのまま遅滞戦略を続けるなら、
ある日突然「ノーディール」が宣告されるかもしれません。

さりとて独裁国家の指導者は、自分から全面降伏するわけにもいきません。

米中摩擦が世界覇権と密接にリンクしている以上、
簡単に終わるはずがないのです。

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