ITバブル期との類似点 (3)バブルの「燃料」となる金融危機・低金利・流動性漏洩
2019/01/28
イールドハンティング(利回り狩り)を行うときは、金利が低いほうが有利です。
運用金利-調達金利の利ザヤが厚くなるからです。
今は日欧がマイナス金利なので、グローバルに運用・調達できる人々にとっては天国。
日欧で借り入れて、米国など利回りの高い国で運用すれば利回りを稼ぐことができます。
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なぜ日欧が低金利を続けるかというと、景気が良くないから。
デフレを防ぐためにマイナス金利にしています。
特に欧州は英国のEU離脱(Brexit)やドイツ銀・モンテパスキ銀などの不安があります。
日本も欧州も、国内に投資しても期待収益率がいまひとつでリスクが高い。
だから景気が良く、企業収益が好調で、金利が高い米国に投資するのです。
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今のように先進国の経済状況が大きく違うと、バブルが生まれやすくなります。
ある国は景気が悪く、金融緩和や経済対策を打ちます。
しかし資金は好景気の国に集まり、そこの資産価格(株や不動産)を押し上げます。
景気が悪い国は効果が出ないので、いっそうの金融緩和や経済対策を行います。
それがまた景気が良い国の資産価格を押し上げるのです。
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この現象は、専門用語で流動性漏洩(リクイディティドレイン)と呼ばれます。
ある国が資金を供給しても、資金移動によって外に漏れてしまい他国の景気を押し上げてしまうことです。
日本や欧州が対策を打って頑張るほど、米国株・米ドル・米国不動産が上がってしまいます。
それを見てFRBは金利をさらにい引き上げます。
しかしそれがまたイールドハンティングの資金を世界から集めてしまいます。
「日欧」「米」それぞれが狙う政策効果が出ないまま、米国でバブルが進行するのです。
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この動きは簡単には止まりません。
米国に資金が集中すると期待収益率が下がります。
目に見える現象としては、配当利回りや債券直利など投資金額に対する現金収入が減ります。
上昇相場に慣れた投資家は、投資金額を増やすことでその利回り低下を補おうとします。
つまりレバレッジ(借り入れ)を高めることで、これまでの収入を確保しようとします。
いつの間にか期待収益率は下がって、リスクだけが雪だるまのように膨らんで行くのです。
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バブルが最後に行き着く先は、大クラッシュ。
巨額に膨らんだ借り入れによる収益は、資産価格の下落によって巨額損失に変わります。
レバレッジ効果が逆回転を始め、投げ売りと倒産が嵐のように連鎖します。
バブルの「燃料」はいつの時代も低金利であり、その前段階として金融危機があるのです。
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ワイルドインベスターズ株式会社