先進国をやめる日本 (1)政治の手段と化した日銀
2019/01/28
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前号までの「2016年新投資税制への対応」はいったん終わります。
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とんでもないことになってきました。
2016年12月18日(金)に日銀が打ち出した政策のことです。
正直、先進国がやることとは思えません。
この国の経済運営や日銀はどこへ行ってしまうのかと危惧します。
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これまでの経緯と私の考えを簡単に述べます。
2013年4月に異次元緩和が打ち出されたとき、私はデフレから脱却し
大相場がやって来ると予感しました。
米FRBのように、日銀も景気や雇用のことも考えるようになったとその「進化」を嬉しく思いました。
株の買い入れは「?」でしたが、「通貨価値を下げ、資産価値を上げる政策」には
アリなのかなと容認しました。
嬉しさのあまり、このような本を出版したほどです。
「超絶バブルの安全な投資術 バブル期に始める株式投資の勝ち方」
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51121736.html
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この本に書いた通り、一番のリスクは「消費税引き上げ」でした。
消費税を引き上げたら、異次元緩和は台無しになってデフレに逆戻りです。
安倍首相、消費増税は凍結しましょう
増税=超絶デフレ政策なら、アベノミクスは台無しに
http://toyokeizai.net/articles/-/17632
しかし黒田総裁は中央銀行の立場でありながら消費税引き上げを求めるような発言をし、
異次元緩和の真の目的が見え始めました。
安倍首相はブレーン浜田氏や経済学者たちの反対を押し切って消費税を5%から8%に引き上げ。
その後の日本経済はマイナス成長を挟みながら、ギクシャクと動き始めました。
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2014年10月の追加緩和でも、「経済が悪くても消費税再引き上げはやる!」という意志を感じました。
政権側としても「インフレ2%を錦の御旗として掲げ、株価を維持できれば良い」と
考えていることがはっきりしました。
そして今回2015年12月、さらに政権サポートとしか思えないような政策を打ち出してきました。
日本経済や中央銀行の独立性など、本格的にどうでも良くなったのだなと思いました。
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今回特にヤバイと思ったのは、新たに作られるETF買い入れ枠3000億円の
内容が普通ではないということ。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k151218a.pdf
この資料の3枚目
「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入
1.設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業に対するサポート
(1)新たなETF買入れ枠の設定(賛成6反対3)
を読んでみてください。
要するに「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株を買う枠だというのです。
「当初はJPX日経400に連動するETFを買入対象とし、
この施策の趣旨に合致する新規のETFが組成された場合には速やかに買入対象に加える」
つまりそれに選ばれる企業だけ特別扱いして、株を余計に買い上げてくれるとのことです。
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この枠は「(日銀が)銀行から買い取った株を2016年4月から売却するため、
その見合いで買うためのもの」と説明されています。
つまり「これは追加緩和ではない」と。
しかし需給が崩れるのが怖いなら、単にETF購入をその分増額すれば良いだけの話。
わざわざ「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を指定することはありません。
どう見ても「企業が内部留保ばかりして設備投資や雇用に回っていない」という
政権への批判を和らげるための援護射撃です。
本当にありがとうございました。
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これはヤバい。
この政策を出せば設備投資や雇用が増えると考えちゃう政権がヤバい。
政権べったりでこれに反対せず、受け入れる中央銀行もヤバい。
一部企業を特別扱いできる利権を作りたがる人々と、それに群がる人々がヤバい。
手間が増えるだけで効果が見込めなくても、政策として打ち出せてしまう国家システムがヤバい。
そして失政の犠牲になる国民が一番ヤバい。
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これでは米国に追いつくどころか、中国や北朝鮮を目指して突っ走っているようにしか見えません。
いくら政府が株を買うといっても、経済政策の思考回路がぶっ壊れた国に投資するには勇気が必要です。
先進国をやめようとしている日本の株は、ますます買いづらくなりました。
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