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大前研一ニュースの視点

英語教育/都心再開発/東京五輪・パラ汚職事件 ~供給過剰で不動産の価値暴落を危惧

・英語教育 福井、60年の英語教育実る
・都心再開発 「東京ミッドタウン八重洲」が全面開業へ
・東京五輪・パラ汚職事件 電通など6社と担当者ら7人を刑事告発



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▼レベルの低すぎる英語教育は文部科学省の大罪
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日経新聞は4日、
「福井、60年の英語教育実る」と
題する記事を掲載しました。

英語の会話指導で
日本人教員を補助する
アシスタントランゲージティーチャー(ALT)の
人口10万人あたりの数を
算出したところ、
都道府県別で最も多かったのは
福井県だったと紹介しています。

福井県は
1959年に中学高校の英語教師が
自主組織を立ち上げて
使える英語の習得にシフトしたとし、
現在も学生の英語力が全国1位のほか、
世界銀行などの
国際機関で活躍する人材も
輩出しているとのことです。

私に言わせれば、
この取り組みは
腐敗した文部科学省の枠組みの中で
マシなだけです。

英検準2級相当の高校生が
60%いるとのことですが、
このレベルでは
何の役にも立ちません。

通関手続きすらできないでしょう。

まずはそのことを恥じねばなりません。

英語教育に本気で取り組むなら、
母語が英語である
母語の教員免許を持っている人に
授業をやってもらうべきです。

日本に来てもらうのが難しいなら、
リモートで授業をしても構いません。

日本人の英語教員がいるなら、
日本人の方を
アシスタントとすべきです。

しかし、文部科学省の理屈では、
日本の教員免状を
持っていないために、
外国人教員は
日本では教えられないとされ、
いつまでたっても実現しません。

しかも、
日本人教員は生徒の前で
英語力不足を晒したくないが故に、
外国人教員に
授業を丸投げしているケースもあります。

それで彼らを
アシスタント呼ばわりするのは
失礼極まりないことです。

たとえばマレーシアでは、
授業は英語とマレー語の
どちらを使って教えてもいいと
されています。

その結果、
数学と理科は英語、
国語や宗教はマレー語と、
教えやすい言語で
授業が行われるようになり、
結果として
自然に英語も話せるようになりました。

制度ひとつで
これだけ明確な結果が出るのです。

私は40年以上
英語教育についての提言をしていますが、
腐敗した現状は
何ひとつ変わっていません。

文部科学省は悔い改めるべきだと
考えます。




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▼供給過剰で不動産の価値暴落を危惧
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三井不動産が
東京駅前に建設した
「東京ミッドタウン八重洲」が、
10日に全面開業します。

東京ミッドタウンとして
六本木、日比谷に続く
3カ所目となります。

高級ホテルやバスターミナルを設置し、
国内外からビジネス客や観光客を
呼び込むほか、
ビルの入り口などには
顔認証システムや非接触のボタンを
設置するといった、
コロナ後を見据えた設計に
なっているとのことです。

三井不動産も三菱地所も
お金があるので、
こうした複合施設ビルを
次々に建てていますが、
過剰供給だと考えます。

ホテルも高級ブランドショップも
十分ありますし、
バスターミナルが設置されるというのも
よく意味が理解できません。

こうした会社には
誘致のノウハウがあるので、
テナントが入らないことは
ないはずです。

しかし、
供給過剰の状態でそれをやると、
テナントは
今まで入っていたビルから
移動する形で入居します。

すると、空いたところには、
より古いビルから
テナントが移動してくる
玉突き現象が起こり、
最終的には
最も古くて小規模なペンシルビルの
テナントが奪われ、
そうしたビルが
次々に倒産する結果になります。

これは90年代に
実際に起こったことで、
また同じことが繰り返されると
危惧しています。




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▼巨大利権企業の正常化のため厳しく対応すべき
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公正取引委員会は
先月28日、
東京オリンピック、パラリンピックの
テスト大会と本大会の
運営業務の契約で、
不正な受注調整を行ったとして、
電通グループや博報堂など法人6社と、
担当者ら7人を
独占禁止法違反容疑で
刑事告発しました。

6社の有罪判決が確定すれば、
刑事罰の罰金5億円以下のほか、
行政処分として
数十億円規模の
課徴金の納付が課される見通しです。

電通は利権屋として
大きくなりすぎました。

大会の組織委員会も
ほぼ電通に丸投げで、
一社でやるのが嫌だから
博報堂などにも
参加させているような状態です。

口利きで利益を出すことが
会社の体質になってしまっている以上、
再発防止のためには、
会社の体質から変える必要があります。

今回の不正に対する罰を科しても、
喉元過ぎれば熱さを忘れ
必ず不正は繰り返されます。

再発防止のための取り組みを
重視しなくてはいけません。

公正取引委員会で
やれることかどうかは分かりませんが、
次に不正があった場合には
課徴金を百倍にする、
解散命令を下すなど、
不正のリスクが莫大になるように
厳しく対応すべきです。

大阪万博や札幌オリンピックも
控えていますが、
一切関われないようにするべきです。

そして、
日野自動車やオリンパスと同様に、
会社の不正体質を改善させるところまで
たどり着かないと、
この問題は終わりません。

今回の逮捕を含め、
関連する事件で
計22人が起訴されたことになりますが、
電通の体質を考えれば
氷山の一角だと思われます。

その点では、
警察の調査もまだまだ不十分です。

政治家も、
選挙の際に電通の力を
大いに借りているので、
この会社には
強く改善を迫れない事情もあります。

ですが、
統一教会との繋がりが
問題視されたように、
電通と繋がりがあること自体が
問題視され、
政治家と電通との関わりを
禁止するくらいのことにならなければ、
この体質は改善しないと思います。

利権と口利きで
ここまで大きな会社が
生まれてしまったことを反省し、
二度と出来ないように
対策することが求められています。

 

-大前研一ニュースの視点