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大前研一ニュースの視点

ロシア経済制裁/独ロ関係/原油価格/欧州企業 ~原油価格が上昇すると、何が起こるのか

・ロシア経済制裁 ロシア銀行をSWIFTから排除
・独ロ関係 ノルドストリーム2認可手続きを停止
・原油価格 一時1バレル=100.54ドル
・欧州企業 ルノー、モスクワ工場の生産を停止



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▼ロシア経済制裁は、日本にとっては天に向かって唾を吐くようなもの
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英国、欧州連合(EU)などは
先月26日、
ロシアの銀行を
各国の主要金融機関が参加する
国際銀行間通信協会(SWIFT)から
排除することで
合意したと発表しました。



当初はロシアへのエネルギー依存度が高い
ドイツなどが
排除に消極的な姿勢を示していましたが、
ロシア軍のウクライナ侵攻により
被害が拡大していることを受け、
足並みを揃えて
ロシアに強い圧力をかける必要があると
判断したとのことです。



今回のロシアに対するSWIFT排除を
どの程度徹底的に行うのか
未だに不明な点があり、
今後注視していく必要があると思います。

例えば、
ある銀行を米国は排除対象としているのに、
同じ銀行を排除対象に含めない国もあるなど、
足並みは揃っていません。



もしロシアを
SWIFTから完璧に排除するとなれば、
それは中国を利することに
つながっていくでしょう。

中国とロシアは
お互いの通貨で交易が可能なので、
例えば天然ガスが売れなくなった場合は
中国に売ることになるからです。



そしてロシアも苦労はするでしょうが、
何とかなってしまう可能性は
高いと感じます。

イランもSWIFTから排除されて
長い間苦労していますが、
まだ生き残っています。

SWIFT排除は
ロシアに対する経済制裁ですが、
制裁をする側にとっても
不利益がありますし、
日本にとって決して他人事ではありません。



ロシアの原油問題が
取り沙汰されていますが、
それだけでなく、
ロシアとウクライナは
小麦、大豆、菜種油、トウモロコシなどの
一大輸出国でもあるからです。

ロシアがSWIFTから排除されると
当然のことながら
日本はモノを
直接輸入することはできなくなり、
SWIFT以外の決済が可能な
インドや中国経由での輸入になります。



そうなると一気に値段が上がり、
インフレを招く可能性もあります。

特に天然ガスでこのような現象が起こり、
エネルギー価格も一気に上がることが
懸念されます。

ロシアに対する
経済制裁と言っていますが、
実際には
天に向かって唾を吐くような状況で、
日本にとっても
「返り血を浴びる」ような
状況になる面もあることは
理解しておくべきでしょう。

 




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▼ドイツのノルドストリーム2認可手続き停止。影響度は大きいものではない
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ドイツのショルツ首相は先月22日、
ロシアの天然ガスを
直接ドイツに運ぶ
ノルドストリーム2について、
認可手続きを停止すると表明しました。

ドイツは温暖化対策を背景に
パイプラインの廃止に及び腰でしたが、
ロシアがウクライナへ
強硬姿勢を強める中、
稼働停止に
動かざるを得なくなったとのことです。



ノルドストリームには1と2があり、
ほとんど同じところを通っています。

そして現在
ノルドストリーム1は稼働していて、
ノルドストリーム2は完成を目指して
工事中です。

今回ドイツは
ノルドストリーム2の工事を
中止しましたが、
ノルドストリーム1は
そのまま稼働していますので、
現状に大きく影響する訳ではありません。

 




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▼原油価格が上昇すると、何が起こるのか?
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先月24日の国際原油市場で
代表指標となるWTI先物価格が
一時1バレル100ドル台まで
上昇しました。

100ドルを上回るのは
2014年以来7年7ヶ月ぶりで、
ウクライナ侵攻で
ロシアからの原油供給に
不安が広がったことが背景にあります。



今のLNG(天然ガス)の価格を見ていると、
1バレル200ドルを超えても
おかしくない状況だと私は見ています。

ロシアの原油に
頼れなくなったからといって、
米国のシェールガスには頼れません。

エネルギー供給国として
米国は安定していないからです。



米国のシェールガスは
マーケットの状況によって
急に供給を止めることがあり、
非常に不安定です。

1バレル100ドルから
さらに価格が上昇していく
可能性があるので、
日本にとってみれば
日本車を売り込む
良いタイミングかも知れません。



また、こうした状況によって、
米国がイランとの関係性を
修復する可能性が出てきました。

今、米国は、
イラン核合意再建のための間接協議を
再開しています。

ロシア問題が発生し、
米国がイランとの関係性修復に乗り出す可能性は
高いと思います。

イランにとっては
神風となるかも知れません。

 





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▼ロシア、ウクライナでビジネスを展開している日本企業は多い
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仏ルノーのロシア法人は
2月28日から3月5日まで
モスクワの工場での生産を
停止する方針を明らかにしました。

ウクライナからの
部品供給の一部が
停止したことを受けたもので、
ドイツのフォルクスワーゲンも
ドイツ東部の2つの工場を
休止するとのことです。



ルノーは
ロシアの自動車最大手である
アフトバスの株式を
多く保有していますが、
ここでも事業に
大きな影響が出始めています。

同じように
住友電工やフォルクスワーゲンなど、
ロシアとのサプライチェーンが
滞っているために
影響を受ける企業は
まだまだあるでしょう。



また、
ウクライナに拠点を持つ企業も
数多く存在します。

日立の子会社の中には、
数千人の社員が
ウクライナで働いているところもあります。

IT関連企業で開発拠点として
ウクライナに進出している企業もあります。

ウクライナそのものが
戦場になってしまうと
ウクライナにおける操業が
ストップしてしまいますから、
非常に深刻な状況になるでしょう。

 

 

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