武田薬品工業/仏ルノー/オンライン販売/国内コンビニ業界 ~日産にとって極めて重要なテーマとは
・武田薬品工業 米マーベリックを買収
・仏ルノー 独ダイムラーの全保有株を売却
・オンライン販売 日産、スマホで購入完結
・国内コンビニ業界 コンビニ、百貨店化のワナ
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▼武田薬品にとって、買収した企業の今後が重要
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武田薬品工業は10日、
米マーベリック・セラピューティクスを
買収すると発表しました。
マーベリックは
2016年に設立されたバイオベンチャーで、
免疫細胞ががん細胞を認識したり攻撃したりする力を
高める技術を持つとのことです。
武田薬品はこの十数年で10社以上のM&Aを行っていて、
普通にニュースを見ているだけだと
状況を理解するのは難しいと思います。
当初、特に目立ったのは、
スイスのナイコメッドを約1兆円、
米ミレニアム・ファーマシューティカルズを
約9000億円で買収したことでしょう。
合計2兆円ほど費やした結果、
「日本の」武田薬品の姿が薄れていくのを
感じました。
さらに和光純薬工業を
富士フイルムに1500億円で譲渡し、
シャイアーを6.2兆円という
莫大な金額で買収したことで、
「武田薬品はもはや日本の会社ではない」
ということを我々に知らしめました。
直近では、日本人にも馴染み深い大衆薬事業を
ブラックストーンに2420億円で譲渡しました。
既に大阪本社も売却しており、
私達日本人が知っている武田薬品は
もうどこにもないといった印象です。
武田薬品がM&A戦略に舵を切って
グローバル化を推し進めるのは、
製薬業界の中で世界トップ10に入るグローバル企業を
目指しているからです。
次々と買収をした結果、
現状はトップ10ギリギリに
入り込んだという状況です。
これから買収した会社が
芽を吹いてくれれば良いですが、
私はやや懸念せざるを得ません。
というのは、
医薬品業界でM&Aを上手に活用できている企業は
少ないからです。
ファイザーやメルクなども、
これまでのM&Aの結果を振り返ってみれば、
それほど成功した事例は多くありません。
私が知る限り、
この業界で最もM&Aを上手に活用できているのは、
ジョンソン・エンド・ジョンソンです。
今回新型コロナのワクチンも発表した
ヤンセンファーマは、
J&Jグループの一員で、
M&Aの成功事例と言えるでしょう。
今後、武田薬品がJ&Jと同じように
買収した企業を上手に活用できるのかどうか、
注目したいところです。
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▼日産はダイムラーに対応しつつ、さらに将来のルノー対策も考慮するべき
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仏ルノーは12日、
独ダイムラーの株式を
全て売却したと発表しました。
日産を含む日仏連合はダイムラーと
資本業務提携をしましたが、
協業が当初の想定ほど広がらず、
近年は株式を保有する意味が薄れていました。
今後は同じくダイムラー株を保有する
日産の動きが焦点となります。
日産もダイムラーの株式を売却するというのが
本筋に見えますが、
逆にダイムラーと大掛かりな提携をして、
ルノーとの関係性を断ち切る
という選択肢もあると私は思います。
これは非常に面白い策だと思いますが、
難点は日産が資本投下している三菱自動車から
反対される可能性が高いことです。
三菱自動車とダイムラーの仲は良くありません。
かつてダイムラーは
三菱自動車と資本業務提携していましたが、
結果として三菱ふそうトラック・バスのみ
連結子会社として奪い取り、
三菱自動車とは資本提携を解消しています。
もう1つ、ダイムラー株を今すぐ売却する以外の
選択肢があるとすれば、
ダイムラー株を投資として保有しておく、
ということでしょう。
日産には、
将来ルノーから株を買い戻す局面が
来るはずです。
そのとき、
ルノーから自社株を買い取るために
キャッシュに変えるという活用方法です。
日産はルノーの株を15%保有していて、
逆にルノーは日産の株を40%以上保有しています。
今、日産の株価は下がっているので、
好都合なタイミングになってきています。
今回のダイムラー株の問題以上に、
どのようにしてルノーから株を買い戻すのかというのは、
日産にとって極めて重要なテーマです。
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▼ネット販売が本格化すると、新車選びでメーカーが横並びになる
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日経新聞は9日、
「日産、スマホで購入完結」
と題する記事を掲載しました。
日産自動車が2021年春、
日米で専用システムを導入し
遠隔での商談や納車を
スマホで完結できるサービスを開始します。
新型コロナ禍で人々が外出を控える中、
来店を最小限にして、
オンライン経由で車を買う顧客が
増えている状況に対応するとのことです。
日経新聞の記事では
日産に限定した内容になっていますが、
ここで重要なことは
インターネットで車を買う場合には
「メーカーの垣根がなくなる」ということです。
ネットで車を選ぶときには、
特定のメーカーの車のみを探すのではなく、
メーカーを横並びで見て、
望むスペックなどから
車を探していくという方法になります。
つまり、従来のようにメーカーをまず決め、
それからショールームに行く、
という導線とは大きく異なります。
実は、最近私も熱海で利用する車を
購入するにあたり、
上述のような車の選び方をしました。
熱海は急な坂が多く、道が狭いので、
小さめの車で急坂に対応したスペックの車を
探して購入しました。
私の人生で初めて、
スペックからスタートして
車選びをした経験でした。
ネット販売が増えてくると、
このような選び方が
さらに一般化してくると思います。
日産というメーカー前提で
来てくれないお客さんに対して、
どのようにアプローチしていくのか?
ということも、
今後日産が考える必要がある
重大事項だと思います。
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▼セブンイレブンの鈴木社長が活躍した頃とは、時代が変わってしまった
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日経新聞は14日、
「コンビニ、百貨店化のワナ」
と題する記事を掲載しました。
コンビニの売上高の変遷を見ると、
2010年からの5年間は
100円コーヒーやドーナツなどで
快進撃を見せたものの、
その後は成長が鈍化しています。
ライバルであるドラッグストアの急成長や
24時間営業への批判及び
コロナ禍で消費者の行動が変容し、
再びスーパーに流れていることなどが要因で、
コンビニは日常消費の奪還に向け
価格対応の柔軟性が急務としています。
コンビニが陰っているというのは、
前年比で店舗数の伸びが鈍化し、
売上高が減少に転じていることからも
見て取れます。
新型コロナの影響もあり、
自分で料理をする人が増え、
それによって良い素材が揃っている
スーパーに行く人が増えました。
おまけに、コンビニの値段は
決して安くはありません。
特にドラッグストアと比べられる
ケースが増えています。
ドラッグストアは
マージンが大きい医薬品を販売できます。
その余力のおかげで、
コンビニで扱うような
ナショナルブランドの商品の値段を安くしても
全体で利益を確保できます。
しかし、コンビニはその戦略を取れません。
これまでコンビニは成功物語の代表でしたが、
これから先は別の道を
模索していく必要があるでしょう。
例えば、スーパーのように
生鮮食品に乗り出すということも
考えられます。
ただし、生鮮食品を扱うなら
敷地面積を大きくする必要がありますし、
売れ残った時に非常に惨めに見えてしまうので、
スムーズに事業展開できるとは限りません。
逆に百貨店やデパ地下のような、
ハイエンド戦略をとるというのも
1つの策です。
しかしこの場合も、
豪華なお惣菜を作って
売れ残ってしまったときのリスクは
大きいと思います。
これまでは、セブンイレブンを筆頭に、
商品の回転率を高めるという戦略で
成功を収めてきたコンビニですが、
今はそれが成功を約束してくれるものでは
なくなりました。
さらに、左を見ても右を見ても
新たな業態がライバルとして出現しています。
セブンイレブンの鈴木敏文氏が
大活躍していた頃とは、
コンビニ業界全体の状況が
全く変わってしまったと言えるでしょう。
コンビニ業界は
非常に苦しい状況に置かれています。