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大前研一ニュースの視点

ファミリーマート/セブン&アイHD/米企業 ~ファミリーマートの苦戦は伊藤忠の能力不足が原因

・ファミリーマート ファミマ、アジアで苦境
・セブン&アイHD 米スピードウェイ買収を発表
・米マクドナルド 成長なきマック「売り時」
・米ウォルトディズニー 休園で狂う「成長の方程式」
・米ロード・アンド・テイラー 米連邦破産法11条の適用申請

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▼ファミリーマートの苦戦は、伊藤忠の能力不足
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日経新聞は7日、
「ファミマ、アジアで苦境」と題する記事を掲載しました。

ファミリーマートが
タイで合弁会社の出資を引き上げたほか、
中国では現地のパートナーとの訴訟が続き、
撤退の観測も浮上していると紹介。

 

部分的な現地化しかできなかったため大衆層を取れず、
意思決定にも時間がかかったことが要因との見方もあり、
ファミリーマートの完全子会社化を目指す
親会社の伊藤忠商事が
反転攻勢の鍵を握るとしています。

この見解は「逆」だと私は思います。

 

今ファミリーマートが混乱している
状況を生み出しているのは、
伊藤忠の能力不足が原因だからです。

伊藤忠はコンビニ以外の分野で、
中国の中国中信集団(CITIC)、
タイのチャロン・ポカパンなどと手を組み、
1兆円規模の巨大ファンドを組成し
大きな動きを見せていました。

 

ところが、チャロン・ポカパンは
タイでセブンイレブンと手を組むなど、
伊藤忠がコントロールできているとは
言えない状況でした。

結局、中国でも上手くいかず、
タイは撤退する羽目になっています。

報道を読むと、伊藤忠がファミリーマートを
完全子会社化して立て直すという論調ですが、
このファミリーマートの苦境を生み出したのは
伊藤忠です。

 

そもそも、伊藤忠はファミリーマートの最大株主であり、
50%以上を保有しているのですから、
言い訳できる要素はないと私は思います。

伊藤忠の能力不足が露呈しただけであり、
これからファミリーマートを完全子会社化したところで、
成功する見込みはほとんどないと私は見ています。

 

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▼セブンイレブンの買収は、活用法次第で大化けする可能性
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セブン&アイ・ホールディングスは3日、
米石油精製会社マラソン・ペトロリアムの
ガソリンスタンド部門であるスピードウェイを
210億ドル(約2兆2000億円)で買収すると発表しました。

セブン&アイは今年3月、
買収額で折り合わず一旦は断念しましたが、
長期的な成長には米国市場が欠かせないとして
再び買収に乗り出した形です。

 

このセブンイレブンによるスピードウェイ買収は
使い道を間違えなければ、
かなり功を奏するのではないかと私は思います。

現在セブンイレブンは米国で約9000店舗を展開し、
コンビニ業界のトップシェアです。

米国でセブンイレブンに次いでいるのは、
アリマンタシォン・クシュタールで
約6000店舗です。

 

セブンイレブンが買収を成功させて、
スピードウェイの約4000店舗を取り込むと、
全体で13000店舗となり
大きく2位を突き放す形になります。

圧倒的な店舗数を確保した上で、
リアルとサイバーの接合拠点として活用できれば
大いにチャンスがあるでしょう。

 

サイバーで注文したものを
リアルの店舗でピックアップするというニーズは
年々高まっていて、13000店舗を展開できるとなると、
米国内でもかなり大きな影響力を持てると思います。

今後ガソリンの需要は減っていくので、
スピードウェイについても
ガソリン事業の期待はできないと思いますが、
コンシェルジュ的なサービスを提供する場、
あるいはEコマースを補完するリアルの拠点として、
大いに役立てられると思います。

買収後の活かし方次第だと私は見ています。

 

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▼縮小均衡で利益を出している日本マクドナルドの実態
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日経新聞は5日、
『成長なきマック「売り時」』と題する記事を掲載しました。

米国のマクドナルドが保有する
日本マクドナルドの株の一部を売却する見通しと紹介。

 

日本事業は5年前の異物混入による低迷から回復し、
コロナ禍においてもテイクアウト需要を取り込み
堅調な業績を上げていますが、
米国マックは成長が乏しいと判断し
売却に動くと見られています。

日本のマクドナルドは好調だと言われていますが、
実際のところは縮小均衡することで
利益を出しているに過ぎず、
昔に比べると売上も利益も減少しています。

 

それにも関わらず、日本マクドナルドの株価は
高い状態で推移していますから、
「今が売り時」だと米マクドナルド本社が判断するのは、
親会社から見れば当然の判断だと言えるでしょう。

マクドナルドの世界的な展開を見ると、
欧米などではほとんどが直営店で、
一部の国はライセンス料のみで展開しています。

 

日本では藤田田氏の藤田商店と米国マクドナルドで、
合弁企業の日本マクドナルドを
設立して展開したため事情が異なります。

米国マクドナルド本社は、
フランチャイズフィーを受け取っているものの、
日本マクドナルドの株式は
50%しか保有していません。

 

マクドナルド全体のセグメント別業績を見てみると、
海外事業も米国事業も利益を出していますが、
日本、中国、南米などの海外ライセンス事業だけが
縮小しています。

この状況にも関わらず、
日本においてはメディアが報じたこともあり、
マクドナルドはV字回復を成功させたと
認識されていて株価が高くなっています。

 

米マクドナルド本社としては、
ある程度株を売却したところで35%ほど残しておけば、
経営に対する影響力を発揮することはできます。

それでも、ライセンス料を受け取りながら
約1000億円のキャッシュを得ることができるのですから、
ありがたい話でしょう。

 

日本で言われているほど、
日本マクドナルドの経営は
成功しているわけではありません。

「縮小均衡で利益を出しているに過ぎない」ということを
米マクドナルド本社に見透かされてしまった、
ということです。

 

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▼映画とテーマパークのダブルパンチは、さすがにディズニーでも苦しい
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日経新聞は6日、
『休園で狂う「成長の方程式」』と題する記事を掲載しました。

米ウォルトディズニーが、
約19年ぶりの最終赤字に転落したと紹介。

 

新型コロナウイルスの影響で
大作映画の公開が全て先送りになったほか、
稼ぎ頭だったテーマパークの再開もままならない現状で、
キャラクターを中心にリアルとデジタルの両面から
ファンを育てる成長の方程式は
新型コロナウイルスで狂ったとしています。

 

中国のシネコンも非常に厳しい状況に
追い込まれていますが、ディズニーも
映画やテーマパーク事業が大苦戦し、
苦境に立たされています。

2020年4~6月期の業績は
47億2100万ドル(約5000億円)の赤字に
転落しています。

 

セグメント別の業績を見てみると
唯一健闘しているのは放送部門です。

動画配信部門はNetflixにあおられてスタートしたものの、
新型コロナウイルスのタイミングに間に合わず、
Netflixに一人勝ちを許す形になりました。

映画は制作したものの公開できない状況、
テーマパークも閉鎖しています。

 

ディズニーが四半期で数千億規模の損失を計上するのは
非常に珍しいことですが、
新型コロナウイルスの影響も踏まえ、
そういう時代なのだと認識するしかないでしょう。

映画とテーマパークという2つの大きな稼ぎ頭が
ほぼ止まってしまったのは、
ディズニーにとっても大きな痛手となりました。

 

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▼破綻企業リストに新たにロード・アンド・テイラー
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米老舗百貨店ロード・アンド・テイラーが2日、
米連邦破産法11条の適用を申請しました。

同社は1826年にニューヨークで創業し、
米国で最も古い百貨店とされますが、
近年はネット通販の台頭などで不振が続いていたほか、
新型コロナウイルスの感染拡大で
全米38店舗が営業休止になったことなどが
響いた形です。

 

ブルックスブラザーズ、JCペニー、ニーマン・マーカス、
Jクルー、ディーン&デルーカなど、
破綻した企業リストにまた新たに
ロード・アンド・テイラーが
追加されることになりました。

アマゾンエフェクトという見方もあると思いますが、
ネットを強化しているウォルマートなどが
生き残っているところを見ると、
ロード・アンド・テイラーは
その方向性を見出すのが遅れ、
間に合わなかったということだと思います。

 

 

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