シリア内戦が終わり米国は中国対策に集中する (2)「マスメディアは中国びいき」で「米中協議はピーポ君」
今週はメディアリテラシーについて考えさせられることが起こりました。
7日木曜日の引け後、
「米中が段階的な関税撤回に合意した」とブルムバーグが報じたのです。
それによって日経平均は23,300ポイントから、
深夜にかけて23.640ポイント近くまで約1.5%上昇。
少し円高に振れかけていた通貨も一気に円安リスクオンに転じました。
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米中、段階的な関税撤回に合意−中国商務省
Bloomberg 2019年11月7日 16:41 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-07/Q0L8SODWX2PT01?srnd=cojp-v2
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中国商務省は7日、
米中両国が相互の製品に賦課している関税を段階的に撤回することで合意したと発表した。
商務省の高峰報道官は、
今後数週間で署名される方向の第1段階の関税軽減の規模は合意の内容次第と述べた。
これ以上の詳細は明らかにしなかった。(略)
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弊社はこれを見て「またかよ」と思いました。
ブルムバーグは弊社が信頼し、よく引用するメディアです。
しかし米中協議に関してはかなり中国寄りで、
「ホンマかいな」と思うような記事を書くことがあります。
上記の記事の英語版を読むと、
「agreed to remove the additional tariffs in phases as progress is made on the agreement,」
と書いてありました。
しかし「知的財産権」「技術の強制移転」「補助金や規制などの産業保護」などで
揉めているわけで、合意が進まなかったらどうするのか書いていません。
それなのに「合意」と見出しに書くのは疑問に思い、
そのことを一部会員さんに当日夕方のメールで伝えました。
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幸い、この話は他のメディアの記事によって「中和」されました。
ロイターの記事は「米国からの話として」と補強しつつ
「米政権内に強い反対論がある」とタイトル内で補足しています。
WSJなどはさらに「中国の希望的観測か」と書いています。
おかげで翌8日の日本株は高寄り後に下げ前日からの上昇分をほぼ失いました。
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しかしアルゴリズム取引の中には、
ヘッドラインだけで売買の判断をして出動するものがあると言われています。
11月限の取引が終わった直後に踏み上げられ、大損した人もいるでしょう。
また今朝の日経は少し下げて始まりましたが、
SQ値は昨夜の最高値に近い23,637円93銭でした。
想定外のオプションがインザマネーになったりして、慌てた人もいると思います。
そして他のメディアによって中和されなかったら、
あのまま上に抜けていた可能性もあるのです。
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ブルムバーグは弊社が信頼し、よく引用するメディアです。
しかしそれでもテーマや記者によっては、「飛ばし」「ミスリード」などが入ります。
その点を言い始めたら、日本のメディアは一部を除いて目を覆いたくなるほどの惨状です。
メディアは営利企業であり、記者は人間です。
ジャーナリズムを標榜しつつも、利益を増やしてリスクがないように立ち回るのは当然です。
だから読み手の方が、
それぞれのメディアや記者の傾向を考慮しながら読まなければならないのです。
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そして米中協議は、去年から一歩も進んでいません。
下の記事は今年3月のブルムバーグ記事ですが、
今回とほとんど内容が変わっていないことに気付くでしょう。
弊社がずっと書いてきたように、
そもそもの目的が「政権交代まで時間稼ぎすること」なのですから進むはずがないのです。
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米中の通商合意近い、中国が公約履行なら対中関税撤回か−関係者
Bloomberg 2019年3月4日 5:31 JST 更新日時 2019年3月4日 13:16 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNT5196S972901
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中国は2000億ドル相当の対中関税の早期撤回が必要との立場を示す
直ちに関税撤回か、監視のため一定期間を設けるかが懸案とされる
米中両国は通商合意に近づいている。
合意に至れば、中国が知的財産権の保護強化や米製品の大量購入
など公約を履行した場合に限り、米国が昨年から課している対中関税の全てか
大半が撤回される可能性が強い。
協議に詳しい関係者2人が明らかにした。
協議に関して公に話す権限がないとして匿名で語った。(略)
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「物事が全く進んでいないのに、
周囲の言動によってまるで進んでいるかのように錯覚する現象」
これに名前がつけられないかどうか、ずっと考えていました。
ちょうど警察マスコットのピーポ君が(動いていないのに)動いているように
見える動画を思い出しました。
錯視の一種らしいのですが、弊社はこれを「ピーポ君錯視現象」あるいは
単に「ピーポ君」と呼ぶことにします。
「米中協議はずっとピーポ君」
これで過去1年の交渉過程がうまく表現できてしまうのです。
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【目の錯覚】このGIF、ピーポくんはまったく動いてません→ネット民が検証
https://break-time.net/archives/1232
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なぜ先進国のメディアには中国など独裁国シンパが多いのか。
なぜその人たちは「もうすぐ合意!」「制裁解除を決定!」
「この後すぐ!」と言い続けなくてはならないのか。
トランプ大統領を揺さぶりながらも、
弾劾は「不可能」かつ「本当はやる気もない」のはなぜなのか。
なぜ中国側は「知的財産権」「技術の強制移転」
「補助金や規制などの産業保護」まで踏み込まれたくないのか。
トランプ大統領とそのブレーンたちの考えは何が違っているのか。
そしてなぜ「米中が合意する可能性はほぼゼロ」なのか。
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上記の疑問について、弊社はたびたび解説してきました。
今回は会員さんに出した特別メール
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投資戦略アップデート(20191108)[特別] 「マスメディアは中国びいき」で「米中協議はピーポ君」
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では、改めてこれらを整理しています。
近日リリースのDEEP INSIDE 2019年11月号にも再掲予定ですので、
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(終)
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投資戦略動画(公開用)20191108
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パフォーマンス 2019年10月
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