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大前研一ニュースの視点

消費税増税/日銀~消費税増税の背景にあるシナリオ

・消費税増税 10月増税は「予定通り」
・日銀 ETF購入は「株価安定のため」

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▼消費税増税を巡る、自民党の二枚舌とその狙いとは?
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菅官房長官は18日の記者会見で、
10月に予定する消費税増税について
「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、
予定通り引き上げる」と述べました。

同日、自民党の萩生田光一幹事長代行が
「景気がちょっと落ちている。万一腰折れしたら
何のための増税かということになる」とし、
6月の日銀の短観次第で増税延期もあり得ると述べており、
それを否定したものです。

萩生田氏の考えは安倍首相に近く、
おそらくこの発言についても安倍首相の影響を受けているでしょう。

菅官房長官と萩生田氏のやりとりは、
自民党が総選挙までにらんで二枚舌を使っているものだと思います。

そもそも消費税を段階的に10%まで引き上げるというのは、
民主党の野田政権のときに法案が提出され可決されたものです。

しかし、民主党を含め現在の野党は
消費税増税に反対の立場を示しています。

それに対して、実体経済としては疑問視する意見もありますが、
史上最長の好景気と自負している自民党は、
リーマン・ショック級の出来事が起きたら
延期もあり得ると匂わせています。

史上最長の好景気なのに、
リーマン・ショック級の出来事が起こるというのは、おかしな理論です。

しかし、そんな理論をゴリ押ししつつ、
そうなった場合には、消費税増税の延期について
「国民に真意を問う」と萩生田氏は発言しています。

ここが重要なポイントになっています。

「真意を問う」とは、
総選挙(この場合「衆参ダブル選挙」)のことです。

まさに茶番のような二枚舌を使ったのはこのためです。

この流れを作ることで、
自民党は「消費税増税の延期について国民に問う」という名目で
総選挙を行うことができます。

そして、基本的に消費税増税の延期に反対する国民は
いない、というのも重要です。

国家財政を憂慮し理性的に判断する人よりも、
増税が延期されれば家計的に助かると感じる人のほうが多いでしょう。

このような流れで消費税増税を論点とした総選挙になってしまうと、
野党としては非常に厳しい戦いになります。

そもそも自分たちも増税に反対ですから、
増税の延期について国民に問うという
自民党に対抗する術がなくなってしまうからです。

自民党は間違いなく圧勝できると思います。

そして、安倍首相の思惑は、
選挙に圧勝した上で憲法改正に向けて動くというものでしょう。

史上最長の好景気と言いながら、
リーマン・ショック級の出来事が起こるかもしれないというのは、
はっきり言って「あり得ない」理論です。

それを成り立たせるために、
菅官房長官と萩生田氏で始末の悪い演技をしているだけです。

全ては自民党が選挙に勝つシナリオのために、
示し合わせているだけだと私は思います。

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▼いつの間にか、日本は「国営企業」が増えてしまった
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16日の衆院財務金融委員会で、共産党の宮本徹議員が
日銀によるETF買いの副作用について質問したのに対し、
黒田総裁は「株価安定の目標を実現するために実施している」と
説明しました。

しかし、直後の答弁で「物価安定の目標を実現するための措置であり、
先ほどの発言には誤りがあった」と訂正しました。

プライス・キーピング・リーダーの中心人物とだけ言っていれば良いのに、
うっかり「株価」という本音が出てしまったのでしょう。

安倍首相なら、このような過ちは犯さないはずですが、
黒田総裁は「正直」過ぎるのだと思います。

日銀の本質的な問題は、ETFを購入し過ぎていることです。

日銀が筆頭株主になっている企業には、
日東電工、ファナック、オムロン、日本ハム、
宝HD、東海カーボン、安川電機などがあり、
いずれも日銀の株式保有比率は10%を越えています。

「国営企業ですか?」というレベルです。

オムロンは関西で最も学生からの就職人気が高い企業とのことですが、
私に言わせれば、オムロンに入社するのは
「役人」になるのと同じではないかと思います。

もしかして、学生はこの状況を理解して、
役人になる手段の1つとしてオムロンへの就職を
考えているのでしょうか。

キーエンスに比べてオムロンは穏やかな企業ですし、
国営企業として安定していれば、なおさら良いのかもしれません。

これだけ日本に「国営企業」が増えてきてしまっているのは、
大きな問題だと思います。

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