約50年ぶりの対中政策大転換 (8)経済ブロック化によって増える国家介入
2019/01/26
G20でフランスのマクロン大統領が安倍首相に面会を申し入れました。
その席でマクロン大統領はルノー・日産・三菱自動車3社の提携維持を要求。
それに対し安倍首相は「政府が関与するものではない」と突き放しました。
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これはもちろん
「日本政府は手を出さないので好きにしてください」
という意味ではありません。
「オメーこそ民間のことに首突っ込んでんじゃねえよ」
という警告です。
日産・三菱自動車を「フランス国有化」しようとする
マクロン大統領に釘を刺したのです。
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冷戦終了後、経済のグローバル化が急速に進みました。
ヒト・モノ・カネが国境を超えて自由に動き、
グローバル企業が大きな利益を得ました。
それによって経済的な恩恵を受ける人が増えたことは間違ありません。
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しかしそれが行き過ぎて、
国民のストレスが耐えられないほど高まってしまったのです。
グローバリストは「犯罪が増えても移民を受け入れろ」と圧力をかけます。
自国民の職が奪われても「自己責任だ」で切り捨てます。
自分たちの生活を守ろうとすると、右翼だの差別主義者だのと攻撃されます。
その反動で生まれたのが「トランプ大統領」であり、「英国EU離脱」です。
人々が声を上げ始めたことで、世界は急速に「ブロック化」しはじめたのです。
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「グローバリゼーションが行き過ぎて、反動でブロック化する」
このような現象は過去にも何度か起こっています。
たとえば第一次世界大戦後にもグローバリゼーションが急速に進みました。
米国の景気は絶好調で、株価は際限なく上昇を続けました。
しかしその反動で生まれたのが大恐慌であり、
ブロック経済であり、ファシズムです。
当時の供給過剰とデフレ圧力は、
米国のニューディール政策でも止めることができませんでした。
計画経済を進めたソ連が輝いて見え、共産主義シンパが増殖しました。
この流れは、第二次世界大戦へとつながって行きます。
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戦後しばらくして始まった東西冷戦。
これも形を変えたブロック経済と言えるでしょう。
米ソがお互いに核を持っていたため、
直接戦火を交えることはありませんでした。
その代わり、各地で代理戦争や政府転覆工作が繰り返し行われました。
結果は、ココムなどで東側を経済的に封じ込めた西側の完勝。
東側諸国は国家破綻や分裂の憂き目に会いました。
東側にいた人々が西側へと移動し始め、情報技術の飛躍もあって、
グローバリゼーションが加速しました。
その反動が今、やってきたのです。
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これまでの世界は、政治的にブルーチームとレッドチームに分けられました。
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ブルーチーム (米国とその同盟国)
レッドチーム (中国とその同盟国)
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しかし経済的に見れば、フランスやドイツは米国とは別の経済ブロック
(EUブロック)を夢見ています。
中国がそこに接近し、米国ブロックから得られなくなった技術や
資金を欲しがるのは当然でしょう。
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現在はそれぞれの国や企業が命運をかけて、
自分が所属するブロックを模索しています。
目立つところでは
- 英国はEUから離れて米国ブロックへ(だから嫌がらせされている)。
- 韓国は米国から離れて中国ブロックへ(北朝鮮と一体化)。
- 台湾は選挙により、米国ブロックからやや中国ブロックに傾いた
というのが現在の国際情勢です。
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中国ブロック (中国・ロシア・北朝鮮・韓国・その他) ← in 韓国
米国ブロック (米英日豪NZ台湾) ← in 英 ↑ out 韓国
欧州ブロック (独仏EU) ↑ out 英
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そう考えると、米国ブロックと欧州ブロックにまたがる
ルノー・日産・三菱自動車の奪い合いが起こるのも当然です。
仕掛けたフランスの背後には中国がいます。
阻止した日本の背後には米国がいます。
ブロックをまたいだ企業合併や技術移転に対する国家介入は、
今後ますます増えることでしょう。
それが歴史の必然なのです。
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