米ゴールドマン・サックス/米ゼネラル・エレクトリック/九州観光~GEは医療事業を手放すべきではない
2019/01/29
・米ゴールドマン・サックス 次期CEOにデービッド・ソロモン氏
・米ゼネラル・エレクトリック 照明事業から年内に撤退
・九州観光 観光客誘致で戦略的提携
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▼ゴールドマンの収益構造の変化
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米金融機関大手のゴールドマン・サックスは先月17日、
ロイド・ブランクファイン最高経営責任者の後任として、
デービッド・ソロモン最高執行責任者を指名したと発表しました。
ブランクファイン氏の在職期間は10年を超えていますが、
近年はフィンテックを活用した個人向け融資事業を
立ち上げるなど、新たな収益基盤を構築。
後任のソロモン氏がこれを引き継ぎ、
成長戦略を加速させる考えです。
ゴールドマンのブランクファイン氏が
辞任するというのは、投資銀行業界にとっては
1つのエポックでしょう。
この10年間でゴールドマンは大きく業態を変えました。
10年前は純収入の約7割はトレーディングでしたが、
今後は機関投資家向けサービスで牽引していく方向性です。
その意味でも、投資銀行部門で高い利益を出した実績を持つ
ソロモン氏が後任として選ばれたのでしょう。
有名な話ですが、ゴールドマンはかつて、
ニューヨーク本社の現物株式取引部門に
600人ほど抱えていたトレーダーが今では2人になっていて、
トレーディングは機械(AI)が行っています。
当面ゴールドマンが目指すべき存在になるのが、JPモルガンでしょう。
現状、収益で比較するとJPモルガンが圧倒的に上回っています。
かつては高い収益を誇ったゴールドマンですが、
現在はJPモルガンの方が安定した基盤を
構築していると言えます。
ソロモン氏がCEOに就任し、JPモルガンに追いつき、追い越すために、
どのように収益を伸ばしていけるでしょうか。
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▼GEは医療事業を手放すべきではない
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日経新聞が報じたところによると、
米ゼネラル・エレクトリックが先月20日、
祖業である照明事業から年内に撤退すると
表明したことがわかりました。
7つの主要事業のうち4つを分離・売却し、
電力、航空、再生エネルギーの3部門に集中し、
過去の複合経営と決別し、「シンプルなGE」として
再起する考えとのことです。
私はこの方針に全く納得ができません。
祖業とはいえ照明事業はすでにかなり縮小していますし、
撤退するのも全く問題ないでしょう。
理解に苦しむのは、なぜ再生可能エネルギーを選択し、
医療事業を分離・売却対象とするのか?ということです。
GEのセグメント別業績を見ると、
電力、航空事業は大きく今後も主力事業として
位置づけていくのは頷けます。
しかし再生可能エネルギー事業は、
それほど利益を生んでいません。
再生可能エネルギーに力を入れていく理由がわかりません。
一方で、GEはシーメンス、フィリップスと並び、
世界3大メディカルエレクトロニクスのメーカーです。
MRI、CT、X線などGEは米国の医者の信頼を勝ち得ています。
たしかに医療分野が今後飛躍的に伸びていくことはないでしょうが、
それでもGEがこの事業から撤退する理由もないと思いますし、
実際、そうなるとかなり困る人が出てくるはずです。
この事業を諦める理由は私には全く思いつきません。
また、もしGEが発表のとおりに
交通事業も分離・売却対象とするなら、
日立などには買収のチャンスかも知れません。
GEは交通事業で強い領域を持っています。
日立は特に欧州で交通事業に力を入れています。
GEの交通事業を買収できれば、
世界で戦うための大きな武器になる可能性はあります。
日立としては目を光らせておくべきでしょう。
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▼JR九州とアリババの提携の意義/ネット企業の旅行事業参入のKFSは?
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JR九州と中国・アリババ集団は先月23日、
訪日観光客の誘致で戦略的提携を結んだと発表しました。
アリババの旅行予約サイトを通じて
九州の観光地を紹介する一方、JR九州は九州内で
アリババのスマートフォン決済サービス
「支付宝(アリペイ)」の導入を促進するというもの。
2023年度に中国から九州へ
100万人の送客を目指すとのことです。
九州は今、日本で唯一明るい話題で
あふれている地域です。
私は月2回程度九州に行きますが、
目に見える景色が全く東京などとは違います。
ホテルの周辺や商店街など、
出会う人の2人に1人は中国からの観光客です。
JR九州とアリババが手を組むことで、
九州経済はガラッと変わっていく可能性があります。
そしてその九州から、日本全体に対しても
大きな影響があるでしょう。
JR九州とアリババが提携する意義は
非常に大きいと思います。
さて、そのアリババなど中国勢が牽引する
スマホ決済ですが、
日本においてもスマホ決済への流れは
止めることはできないでしょう。
これまでクレジットカードで、
ぬくぬくと利益を上げていた企業にとっては、
デビットカード方式は苦手です。
実現するにはいくつかの課題がありますが、
まずはできるところから実践するしかありません。
また、LINE、DMM、メルカリなどのベンチャー企業が
旅行市場に参入しています。
これはデスティネーションツーリズム
という市場を狙ったものでしょう。
1泊2日程度の短い旅行が多い日本では
あまり馴染みがないのですが、1ヵ月以上など
長い期間旅行する市場のことを言います。
実は、観光の輸出額の規模は、
世界的に見ると自動車産業よりも大きく、
今後も非常に期待できる市場です。
これまで旅行では、ホテル、飛行機、
そして現地のレストランの予約など、
全て縦割りで別々に手配する必要がありました。
エクスペディアなどが統合したサービスの展開を
試みていましたが、なかなか上手くいっていません。
ところが、LINE、DMM、メルカリなどネット企業にとっては、
統合サービスを提供することはお手の物です。
かつて私も辞書のように
分厚いガイドブックを片手に、
欧州を一周したことがあります。
数ドルで泊まれるユースホテルが
紹介されていたり、非常に重宝しました。
今は旅行中も常にスマホで
ネットに繋がっていますから、
これをさらに精度を高めて
実現することができるでしょう。
単に統合サービスとして提供するにとどまらず、
コンシェルジュ的なコンテンツまで
提供してほしいところです。
例えるなら、JTBのエキスパートガイドが
自分のポケットにいるという感覚です。
LINE、DMM、メルカリにとって、
技術的な問題はほとんどないと思います。
重要なことは、内容をどれだけ
エキスパートにできるかということです。
中国人の観光客は、中国人留学生が
百度にアップしている大量の観光情報や案内を
参考にしているそうです。
最終的には、内容をどれだけ充実したものにできるか。
ここができないと片手落ちの
サービスになってしまうでしょう。
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