コンカー/産業革新機構/リョービ/楽天/ソフトバンクグループ/トヨタ自動車/米携帯大手 ~楽天のフリーテル買収は成功、ソフトバンクのスプリントは苦戦
2019/01/29
・コンカー Suica利用データで経費精算
・産業革新機構 「再生」に傾く革新機構
・楽天 大赤字のフリーテルを買収する計り知れないメリット
・リョービ 電動工具事業を京セラに譲渡
・ソフトバンクグループ 日本電産・永守重信氏が社外取締役退任
・トヨタ自動車 アメリカでHV車基幹部品生産へ
・米携帯大手 スプリント株急落
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▼コンカーのシステムは領域を広げるべき
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出張・経費管理システムを手がけるコンカーは先月25日、
交通系電子マネー「Suica(スイカ)」の利用データを使った
経費精算サービスの実証実験を始めると発表しました。
事前に登録したスイカで鉄道やタクシーに乗ると、
日付や運賃など利用実績を自動でシステムに転送するもので、
2019年度末までの実験結果を踏まえサービス化を検討するとのこと。
コンカーはドイツのSAPが買収した企業で、
出張経費などのシステムを提供しています。
日本法人は、セールスフォースやマルケトの日本法人を
共同出資で設立したサンブリッジが
米国の本社と共同出資で立ち上げた会社です。
残念ながら今回発表されたシステムなど、
コンカーの業務領域を考えると、
ホテルやレンタカーも扱っているので、
対象領域は少し狭いのではないかと私は感じています。
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▼焼け太りする産業改革機構
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日経新聞は先月25日、
『「再生」に傾く革新機構 50倍に膨れあがった原点』
と題する記事を掲載しました。
東芝が半導体メモリー事業の買収で主要な役回りを演じた
官民ファンド・産業革新機構について、
設立当初の主目的はベンチャー投資で、
原資もわずか400億円だったものの、
現在は投資枠2.1兆円の巨大ファンドになっており、
この機構が20225年3月末までの時限組織であることを踏まえ、
今こそ過去の設立経緯や成果の十分な検証が必要としています。
本来は創業関係の投資が目的だったので、原資も400億円程度でしたが、
はじまってみると革新機構ではなく、
「救済機構」になってしまい、一気に資金が膨らみました。
経産省にしてみれば、自分たちが顎で使えるようなモノですから、
非常に便利なものになっていると思います。
結果として、焼け太りのように2.1兆円にまで
ふくらんでいるのは経産省らしいやり方だと思います。
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▼楽天のフリーテル買収は成功、ソフトバンクのスプリントは苦戦
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ダイヤモンド・オンラインは先月29日、
「楽天が大赤字のフリーテルを買収する計り知れないメリット」
と題する記事を掲載しました。
今回の買収は楽天にとって、
買収価格が安い・比較的簡単に黒字化が見込める・
本業にとってもプラスなどのメリットがあると紹介しています。
楽天の携帯電話事業と合わせると大きくなる目処は立ちますし、
ユーザー一人あたり4800円で獲得できたとなると、割安でしょう。
一方、ソフトバンクが傘下におさめている
米スプリント社について、先月25日の米株式市場で株価が急落。
過去4カ月で最大の下げを演じています。
孫正義会長は強気の発言をしていましたが、結局、
ドイツテレコム傘下のTモバイルと合併する可能性が高く、
現在デューデリジェンスが行われているようです。
こうなってくると、株価が下落するのは致し方ない状況でしょう。
またソフトバンクグループは29日、日本電産の永守重信会長兼社長が
30日付で社外取締役を退任すると発表しました。
「本業との兼務が困難となった」としていいます。
かつて私も社外取締役を務めていて、1期2年で退任しました。
私は退任するとき、孫正義会長から
「自分に対して色々と忌憚なく言ってくれる人はいないので」
と慰留されましたが、おそらく永守氏も同じような立場だったのだろう、と思います。
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▼転換期を迎えた電動工具市場/トヨタがHV強化する重要性
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ダイカスト金型鋳造大手のリョービは先月29日、
電動工具(パワーツール)を手掛ける国内外事業で新会社を設立し、
新会社の80%の株式を京セラに譲渡すると発表しました。
これにより京セラは電動ドライバーや切断機などの品揃えを
強化するとともに、リョービは主力のダイカスト部分に
経営資源を集中する考えです。
リョービの主力であるダイカストの1つが電動工具です。
それを売却してしまうというのは、
KKRが日立工機を買収した事例も含め、
電動工具という市場が1つの転換期を迎えているのだと感じます。
トヨタ自動車は米国での生産体制を強化し、
米国地域の五つの工場に合計で約3.7億ドル(約414億円)
を投資すると発表しました。
EVだけでなく、HVへ投資するのは非常に良いことだと思います。
都市で走る時には電気で動くように再設計すれば、
環境対応車として通用するはずです。
「環境対応車」として扱えるというのは、
トヨタの戦略上も極めて重要な要素だと思います。