ソフトバンクグループ/米ウーバーテクノロジーズ/三菱商事/エールフランスKLM ~スカイチームの提携強化で変わること
2019/01/29
・ソフトバンクグループ 米ウーバーへの出資を検討
・米ウーバーテクノロジーズ CEO候補にジェフ・イメルト氏
・三菱商事 イギリスで海底送電線を取得
・エールフランスKLM 英ヴァージン株31%を取得
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▼ソフトバンクがウーバーに投資しても、他国への相乗効果は期待できない
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米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは先月25日、
配車サービスを展開する米ウーバーテクノロジーズに
ソフトバンクグループが出資を検討していると報じました。
ソフトバンクは中国で配車大手の滴滴出行に加え、
インドのオラなど複数のライドシェア(相乗り)関連の企業に出資しており、
今回の出資が実現すれば、ソフトバンクがアジアで事業運営を
統合するよう働きかける可能性があると伝えています。
私はソフトバンクが事業運営を統括することになる可能性は
薄いと見ています。
ソフトバンクは、中国の滴滴出行、
インドのオラ、シンガポールのGrabに投資していますが、
この種のサービスは国をまたいで投資しても
相乗効果はそれほど期待できないからです。
ソフトバンクがウーバーに出資することになっても、
中国やインドで大きな変化が起こるとは思えません。
カラニック氏がウーバーのCEOを辞任し、
誰がウーバーの舵取りをするのか?ということですが、
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは先月28日、
トラビス・カラニック氏の後任候補の1人として、
ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルトCEOを
検討していると報じています。
7月末でGEを退任したイメルト氏。
パワハラ問題などで社内はぐちゃぐちゃのウーバーでも、
イメルト氏なら何とかしてくれるという期待が持てるのでしょう。
私がイメルト氏の立場であれば、ウーバーのCEOは受けません。
検討する余地もありません。
ただ、もしイメルト氏が引き受けたなら、
ソフトバンクの孫社長はイメルト氏と旧知の仲ですから、
出資に好影響が出るかも知れません。
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▼海底送電線への投資をするなら、もっと戦略的に
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日経新聞は先月26日、三菱商事は英国で
洋上風力発電から地上に電気を送る海底送電線を
1億8000万ポンド(約270億円)で取得すると報じました。
風力発電は安定的に電力を供給するのが難しいとされますが、
発送電の分離が進み今後も需要がある英国を中心にノウハウを蓄積し、
欧州全域を網羅する再生エネルギーの発送電網構築を目指すとのことです。
商社は潮流発電など、様々なものに投資をしていますが、
その1つが今回の海底送電線への投資です。
この電源は、おそらく3000ボルト以下のものでしょうから、
サハリンから日本へ送り込むような高圧直流は必要ありません。
欲を言えば、高圧直流を研究して、ウラジオストクから新潟へ送電する、
あるいはサハリンから日本へ送り、さらに福島に残っている送電網へつなぐなど、
もう少し戦略的に投資すると良いのではないかと思います。
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▼スカイチームの提携強化で変わること
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仏蘭航空大手エールフランスKLMは先月27日、
英ヴァージン・アトランティック航空の株式
31%を取得すると発表しました。
同時に米デルタ航空と中国東方航空から出資を受け入れると発表。
北米、欧州、アジアの3地域にまたがる航空ネットワークを構築し、
競争力を高めるのが狙いとのことです。
スカイチームの提携関係を整理すると、次のようになっています。
エールフランスとKLMが2004年に経営統合しました。
エールフランスKLMは、アリタリア航空の業績が
良くないときに支援をした仲間です。
今回の記事によると、エールフランスKLMが
デルタ航空と中国東方航空から10%ずつ出資を受け入れ、
さらにヴァージン・アトランティック航空に31%出資をすることで、
提携関係を大きく広げることになります。
ただし、ヴァージン・アトランティック航空は
スカイチームメンバーではありません。
ヴァージン・アトランティック航空には
デルタ航空がすでに49%出資しているので、チーム全体で見れば、
ヴァージン・アトランティック航空の株式を80%以上保有し、
完全にコントロールできる状態です。
これにより、欧州、米国に加えて、中国、アジア
などが一体化して、スカイチームが強くなる構図です。
航空業界にはいくつかのアライアンスがありますが、
ここまで提携関係が強くなった例は他にありません。
そもそも中国東方航空がメンバーに入ったのも初めてです。
アライアンスを組むことで、マイレージの共通化、
乗り継ぎの融通などができるようになるはずです。
そのためにはオペレーションを改善していく必要があります。
デルタ航空には、4月に暴力問題で炎上した
ユナイテッド航空とは違うところを見せて欲しいと思います。
今後、オペレーションがどのように改善されていくのか
見守っていきたいと思います。