スタグフ円安の足音 (2)本家レーガノミクスとの相違点
2019/01/28
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アベノミクスという名称は、1980年代に米国のレーガン大統領が行った
「レーガノミクス」にちなんで名づけられたものです。
しかしその内容は全く異なっており、後追いというわけではありません。
むしろアベノミクスは今のところ、レーガノミクスで最も大事な部分で
逆のことをやっているのです。
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レーガノミクスの骨子は以下の通りです。
1. 強いアメリカの復活。社会保障支出と軍事支出の拡大で経済を発展させる
2. 減税により労働意欲の向上と貯蓄の増加を促す
3. 規制を緩和し投資を促進する。
4. 金融引き締めで金利高・米ドル高に誘導しインフレを収束させる
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その効果については今なお議論がありますが、功罪織り交ぜるなら
以下のようなことが挙げられます。
1. ソ連との冷戦に勝利
2. 双子の赤字拡大(財政赤字・経常赤字)
3. 資産価値経済への移行。金融政策への依存。
4. マイクロソフト・アップル・オラクルなど将来のIT大企業が立ち上がる(84年)
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総じて言えばレーガノミクスは唯一の超大国としてアメリカの地位を確立し、
製造業から知的産業へのシフトするきっかけを作ったと私は考えています。
1990年代に入るとそれがIT革命として花開きました。
そこから日欧に差をつけはじめ、圧倒的な差にまで広がってしまいました。
今の「米国ひとり勝ち」の基盤は、レーガノミクス時代に種が撒かれたのです。
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それでは、アベノミクスの骨子を見て比較しましょう。
1. デフレ脱却を目指す大胆な金融政策(異次元緩和)
2. 機動的な財政政策
3. 民間投資を喚起する成長戦略
- 法人税の引き下げ。2014年に2.4%引き下げ、数年で20%台に引き下げ。
- 規制の撤廃、エネルギー・農業・医療分野の外資への開放。
- 働く母親のために家事を担う外国人労働者の雇用。
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アベノミクスは(1)デフレ脱却のため、過去に例がない金融緩和(異次元緩和)
に踏み切りました。
これはレーガノミクスとは正反対ですが、それぞれ対処する問題がインフレ
デフレで異なっていたので当然です。
(2)財政支出もある程度拡大しましたので、ここはレーガノミクスと同じ。
(3)成長戦略はこれといった決定打はないですが、法人と外国を優遇していることは確かです。
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これまでのアベノミクスを見ていると、大企業や公務員それに外資・
外国人労働者を優遇しているように見えます。
一方、日本の一般庶民からは消費税アップなどの増税で活力を奪い内需を細らせています。
大企業が最高の利益を出しても、政府は「給料上げてくださいよ」と言うだけ。
国内で設備投資をし、給料を高く払いたくなるような政策は出しません。
これでは「民間の活力」もへったくれもないでしょう。
時間が経つにつれて金融効果の効果は薄れ、円安が進んでもマイナス成長に陥るのは当然なのです。
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レーガノミクスが目指したのは「市場原理と民間活力を重視」「競争と投資の促進」。
これまでアベノミクスで行ったのは「消費者から大企業・公務員・
外国(人)への所得移転」「階層・格差の固定化」。
本来は日本も「市場原理と民間活力を重視」と「競争と投資の促進」に
舵を切らなくてはなりません。
しかしこのままでは、スタグフ円安でどうしようもなくなった後に気付くことになりそうです。
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