統一欧州の夢と現実 (3)EUと新興国により深いダメージ
2019/01/28
今週の株式市場は英国のEU離脱(Brexit)ショックを織り込み、
戻り歩調が続きました。
米国株と英国株は現地通貨ベースで投票前の高値を回復。
これは不思議なことではありません。
通貨が大きく下落すると、企業収益の見通しが改善して株価が上昇します。
「通貨価値を下げ、資産価値を上げる」メカニズムが働くからです。
*****************************************************
これと同じことが、1992年のポンド危機のときにも起こりました。
ジョージ=ソロスがイングランド銀行を打ち破ったとの伝説を作った時です。
セミナーでも言いましたが、変動為替制度は本当に良くできたシステムだと思います。
*****************************************************
*****************************************************
株式市場を良く見ると、むしろギリシャやスペインの株価のほうが
大きく下げています(円ベース)。
これは弊社が予想したことでした。
なんだかんだ言って、英国はこれまでEUを支えてきた大国のひとつです。
英国にはメリット・デメリット両方ありますが、
EU側にはデメリットしかありません。
*****************************************************
*****************************************************
離脱を決めた英国に対し、EUは厳しい態度を貫いています。
マスメディアは「英国は破滅する」と喧伝しています。
「ドイツ第四帝国」と化したEUは、見せしめと恫喝でしか
加盟国とつなぎ止められないと考えているようです。
しかしこれは逆に、EUの苦境を示しています。
*****************************************************
「離脱は残念だけど、これからも一緒にできる分野は協力するよ」と言えば、
英国民の感情は正反対になるでしょう。
そもそもEU側に話を聞く態度があれば、離脱派が勝つこともなかったと思います。
「なぜ離脱派が勝ったのか」という根本原因を、彼らは全くわかっていないようです。
ということは、同じ失敗を何度でも繰り返す可能性が高いということです。
*****************************************************
*****************************************************
EUが傲慢な態度を続け、加盟国民の意志を無視し続ければ、
オランダやフランスも去ってしまうかもしれません。
特にオランダはマイペースな国であり、英国ともつながりが深いので要注意です。
主要国が去った後のEUは、ドイツと弱小保護国によるブロック経済となるでしょう。
戦前に見た光景が繰り返されるのです。
*****************************************************
今回の英国EU離脱は、英国よりもEUや新興国にとってのダメージの方が大きいです。
またぞろPIIGSやドイツ銀の信用不安が再燃するかもしれません。
今は強い戻りを見せている新興国の株と通貨ですが、
この反動が来たときは大きいと考えます。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ワイルドインベスターズ株式会社