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大前研一ニュースの視点

ヤフー・シャープ・東芝・損保ジャパン日本興亜HD~ヤフーの本当の課題は一休買収では解決しない

2016/09/25

ヤフー 一休を買収へ
シャープ 液晶パネル事業買収を提案へ
東芝 テレビ、白物家電などに大ナタ
損保ジャパン日本興亜HD メッセージ買収を発表

ヤフーの本当の課題は一休買収では解決しない/民泊制度を整える必要性

ヤフーは15日、ホテル・旅館予約サイト大手の一休を約1000億円で買収すると発表しました。

TOB(株式公開買い付け)を実施し、全株式を取得します。

高級なホテルやレストランの予約に強い一休を取りこみ、サービスの品ぞろえを増やす方針で、
てこ入れ中のインターネット通販を含め、急成長する電子商取引に経営資源を振り向けるとのことです。

ヤフーにとって障害になるような買収ではありませんが、一方で戦略的に重要性も
あまり感じられない買収だと思います。

営業利益で約25億円、純利益で約16億円と利益が出ているので、プラスにはなるという程度でしょう。

率直に言って、営業利益が約25億円ですから、買収金額1000億円というと25年分に相当します。

あまり良い買収とは言えません。

ヤフーが抱えている本当の問題は、別のところにあります。

旅行関連で言えば楽天に負けていますし、ポータルサイトとしての地位もグーグルの後塵を拝しています。

資金が豊富にあるヤフーだから買収してしまったというところでしょう。

少し話は変わりますが、旅行市場に目を向けると、日本として取り組むべき別の問題があります。

先日、京都で無許可の「民泊」を営んだため逮捕者が出たと報じられました。

もちろん、法律違反は許可できることではありませんが、
全体として見れば「民泊」の制度をいち早く整えるべきだと私は思います。

今、京都は外国人観光客が多すぎて、学生の修学旅行の宿さえ確保できない状況になっています。

ただでさえ宿泊施設が足らないのに、特に京都はホテルの建設にも景観論争などもあって
一筋縄では行きません。

外国人観光客が約2000万人来るとして、現状は1500万人分しか宿泊施設がありません。

残りの500万人分を確保するのは国として取り組む必要がある課題だと思います。

 

シャープには守るべき高い技術などない、という事実を認めるべき

政府系ファンドの産業革新機構が、出資するジャパンディスプレイを通じて
シャープの液晶事業を買収することを提案する方針を固めました。

近々、シャープと取引銀行に提案し、本格的な買収交渉を開始すると見られています。

国内2大液晶メーカーの技術を結集し、韓国勢などライバルに対抗する考えです。

中小液晶パネルの世界シェアを見ると、ジャパンディスプレー(16.2%)とシャープ(14.7%)が合わさると、
トップのLGディスプレー(17.3%)を圧倒的に上回ることができます。

トップシェアを確保するというのは意味がありますし、良いことだと思います。

ただし、「シャープの高い液晶技術を守る」という発想があるとしたら、それは間違いです。

仮にシャープに高い液晶技術があったとしたら、今のような状況にはなっていないはずです。

すでに技術はコモディティ化しており、そのために韓国、中国の企業に足元をすくわれているのです。

一時期、鴻海による買収の話が持ち上がった時、「鴻海=黒船」でシャープの技術が盗まれると
主張する人もいましたが、そもそもシャープにはそんなものはないのです。

会社そのものが崩壊の危機なのですから、その事実を認識しておくべきでしょう。

同じく不振が続く東芝も、テレビや白物家電などの事業にようやく大ナタを振るう方針を明らかにしました。

2016年3月期に、2000億円を超えるリストラ費用を計上する方針で、
国内外の拠点再編や人員削減で一気にウミを出し切り、来期以降のV字回復につなげる考えです。

純損益の推移を見ると、09年にマイナス4000億円、今回マイナス5000億円で、
この10年間の大幅のマイナスには目も当てられません。

セグメント別の利益を見ると、電力インフラやコミュニティソリューションは少し利益が出ており、
電子デバイスはやや大きな利益が出ています。

しかし、今回対象となっているパソコン、テレビなどのライフスタイル関連は大きな損失を計上しています。
パソコンは富士通と合併させるなどの方法もありそうですが、テレビその他は完全にギブアップ状態でしょう。

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介護事業の利益を圧迫する2つのコスト/人生をエンジョイする事業の可能性

損保ジャパン日本興亜ホールディングスは18日、介護事業大手のメッセージを買収すると発表しました。

TOB(株式公開買い付け)を実施し、出資比率を現在の3.5%から51%以上に引き上げ
子会社にするとのこと。

取得額は少なくとも260億円以上となる見通しです。

収益の多角化としての狙いでしょうが、介護事業は非常に難しい事業だと思います。

とはいえ、この事業は絶対に必要とされるものですし、介護離職ゼロを目指す政府方針の
追い風もあると言えるかも知れません。

介護事業においては、お金を削って利益を出そうとするのは絶対に無理が出てきます。

本当に良心的に運営しようとすれば、必ず2つのコストがかかります。

1つは「施設の費用」です。

ベネッセの介護施設ほど高級である必要はありませんが、お風呂など含め、
便利な施設として機能するためには、ある程度コストがかかります。

もう1つは「人件費」です。人を削ってしまうと、個人への負担が大きくなり、
ストレスがたまり、それがサービス上大きな問題になります。

この2つのコストが大きく、実際のところなかなか利益が出にくい事業です。

もし私なら介護という段階の前に、「人生をエンジョイする事業」に取り組むことで
利益を出せるかも知れないと考えます。

オーストラリアの年金ファンドに、廃業したリゾートホテルをたくさん買って、
年金加入者には半額でバケーションに招待するというサービスを展開しているところがあります。

2週間程度の長期滞在にもうってつけで、このようなスキームならば利益は出せると思います。

介護段階まで進むと難しいですが、その前の段階で一工夫してみるのは面白いでしょう。



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