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大前研一ニュースの視点

ロシアゲート問題/オバマケア代替法案/米トランプ政権/トランプ大統領 ~党内での影響力の低下も見え始めているトランプ大統領

2019/01/29

・ロシアゲート問題 「ロシア元工作員」が会合同席
・オバマケア代替法案 新たに2人が反対表明
・米トランプ政権 スパイサー大統領報道官が辞任
・トランプ大統領 トランプ氏の外交政策を「信頼する」22%

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▼明らかになってきたトランプ大統領とロシアの蜜月関係
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トランプ米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が
昨年6月、民主党候補クリントン元国務長官に
不利な情報を提供するとしたロシア人弁護士と面会した問題で、
ロシア情報機関の元工作員とされるロビイストら
少なくとも8人がこの会合に参加していたことが分かりました。

ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、
うかつにもEメールを見せてしまい、自分たちがロシアとの関係を
上手く利用しようとしていたのが露見してしまいました。

ロシアの富豪の1人であるオリガルヒと呼ばれる政商との関係性を含め、
トランプ大統領とロシアとの繋がりがどんどん明らかになっています。

「トランプタワーはマネーロンダリング装置だ」と
著作の中で指摘したジャーナリストのクレイグ・アンガー氏は、
さらにユーチューブでトランプタワーの内情を公開しています。

トランプタワーはロシアとすでに十数年にわたってべったりの関係で、
ロシアの金持ちが名前を変えて複数個購入しており、
トランプタワーはそれで潤っているなど。

さらに、トランプ大統領とロシアとのコネクションは、
こんなものではないと言いたい放題の様相を見せています。

ついにトランプタワーの内情まで明らかになり、
トランプ大統領=ロシアという構図が白日の下にさらされようとしています。

そのような中、トランプ大統領の共和党内における
パワーバランスも変化していると感じます。

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▼党内での影響力の低下も見え始めているトランプ大統領
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米上院で与党共和党が成立を目指す医療保険制度改革(オバマケア)
見直しのための代替法案を巡り、共和党議員2人が17日新たに反対を表明しました。

これにより合わせて4名が反対し、成立に必要な過半数は得られないことから
上院共和党トップのマコネル院内総務は
「残念だが代替法案は成功しそうにない」との見解を示しました。

民間保険の加入率の推移を見ると、
低所得者用の公的な保険・メディケイドは増加傾向にあり、
無保険の割合が減ってきているのがわかります。

このような効果が認められる一方で、
オバマケアの社会的な負担は大きく、
保険会社が疲弊しているのも事実です。

そこで、オバマケアに代わるものとして自分たちが何を準備するかは置いておいて、
まず「オバマケアを放棄する」というのがトランプ大統領のプランでした。

しかし無計画にオバマケアを放棄しても、
2400万人が無保険状態になり大きなダメージを受けます。

当然のことながら、これは来年の選挙にあたって大きな影響力を持ちます。

これには「賛成できない」と反対表明する人が共和党の中にも出てきました。

トランプ大統領の党内のおける発言力・影響力が落ちてきている証拠でしょう。

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▼陣営もぐちゃぐちゃ、世界からの評価も下がる一方
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そんな中、選挙期間中から報道官を務めていた
スパイサー大統領補佐官が辞任を発表しました。

トランプ大統領が元ゴールドマン・サックスの
アンソニー・スカラムッチ氏を報道責任者に指名し、
スパイサー氏が愛想を尽かしたという形でしょう。

トランプ大統領としては、報道官の仕事が上手く機能していない
と判断してスカラムッチ氏に声をかけたのでしょうが、
トランプ大統領の発言をフォローしていく報道官は大変な職務だと思います。

すでに、トランプ陣営は内部もぐちゃぐちゃの状態です。

トランプ大統領への世界からの評価も下がる一方です。

世界37カ国4万人を対象に行なった世論調査の結果によると、
トランプ大統領の外交政策を「信頼する」との回答は22%に留まり、
昨年のオバマ前大統領時の64%を大きく下回りました。

また全体の75%がトランプ氏の印象を「傲慢」と回答し、
「狭量」「危険」「強い指導者」などが続いたとのことです。

財界には、「米国人であることを恥じる」と発言する人も出てきています。

トランプ大統領の支持者の中で、今なら投票しないと回答した人は
8人に1人とのことです。この割合でも選挙ではヒラリー氏の勝利になりますが、
思ったよりも少ないというのが私の率直な感想です。

良くも悪くもトランプ大統領はカラフルで、
ヒラリー氏は目立たないのかも知れません。

米国が世界の中でどれほど落ちぶれてきたかを考えると、
トランプ大統領が失地回復のために、
中近東、北朝鮮、中国に対する政策で挽回を図る可能性があります。

この点は注意深く見守る必要があると思います。

ただし実際のところ、右腕だったスティーブン・バノン氏の
影響力も低下しており、挽回施策も難しいのが現状でしょう。

すでに「トランプ大統領とは何者だったのか」という分析、
すなわち「(トランプ大統領が)いなくなった」
ことを前提に分析する必要が出てきたと私は感じています。

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