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大前研一ニュースの視点

NTT/インバウンド消費/JR九州高速船~NTTの次の戦略は「金融」しかない

・NTT 見えぬ携帯の次
・インバウンド消費 訪日客は西へ、消費は東へ
・JR九州高速船 福岡-韓国・釜山航路に新型高速船導入へ

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▼NTTの次の戦略は、明確に「一手」しかない
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日経新聞は先月29日、
「NTT、孝行息子の衰え 見えぬ携帯の次」と題する記事を
掲載しました。

2019年3月期の時価総額で、
NTTが3年ぶりにNTTドコモを上回ったと紹介。

 

政府主導で進められた携帯電話の値下げが響くものですが、
5Gなど次世代技術の競争が激化する中、
ドコモの稼ぐ力は弱まっており、昨年6月に就任した澤田純社長が
グループの再構築を図れるか手腕が試されるとしています。

NTTの業績を見ると、
売上は約10兆円、営業利益は約1兆円です。

悪くない数字ですが、伸びてはいません。

これまで移動通信が伸びてきましたが、
今後は難しい状況が目に見えています。

世界化にも挑戦しましたが、
結果としては実を結びませんでした。

澤田純社長は
「ゲーム・チェンジを仕掛ける」と述べていましたが、
その方向性は1つしか考えられません。

それは、NTTが銀行になることです。

世界を見渡せば、資産運用、決済業務に
乗り出している企業がたくさんあります。

世界中の金融市場を直接相手にできる環境が整っています。

 

通信の次の戦略が見えないなどと
日経新聞には書かれていましたが、
戦略は明確で、金融の道しかないと私は思います。

ところが、現状ではNTT法があるために
NTTは銀行業務を行うことができません。

私ならまずこの法律を改正することから始めます。

NTT法は、かつて市内通話、市外通話など分かれていて
長距離通話という概念があった時代のものです。

現在の状況に合わせて改正することは
何ら不自然ではないでしょう。

 

ソフトバンクは投資会社になって、
PayPayなど金融業に乗り出しているのですから、
NTTも同じような道を歩むことができるはずです。

古い時代の民営化、分割の呪縛から解放されるべきです。

しかもNTTの場合には、
数十年分の電話料金の支払いデータを保有しています。

 

中国のアント・フィナンシャルと同じように、
個人の信用情報をガッチリ握っているということですから、
非常に大きなアドバンテージです。

料金回収の代行もできるでしょうし、
NTT法を改正してNTTを解放すればできることは無限です。

澤田社長流に言えば、
こうした過去の呪縛から「解き放して」くれれば、
簡単に「ゲーム・チェンジ」ができると思います。

私なら、中国と同レベルの自由度、
最低でもソフトバンクと同レベルの自由度を求めて動きます。

 

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▼訪日客を受け入れる西日本
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日経新聞は4日、「訪日客は西へ、消費は東へ」と題する
記事を掲載しました。

これは訪日外国人の数の伸び率で
東日本、中日本の伸び率が20%台だったのに対し、
西日本が41%だったと紹介。

一方で都道府県別の消費額では、
東京都が53.4%のシェアだったとのこと。

 

空港別の出入国数に照らすと、関空から入国し、
東京で買い物した後に成田・羽田から出国するという流れが
見て取れるとのことです。

もう1つ西に訪日客が多いのは、
福岡などに大規模な船に乗って観光客が訪れるからです。

数千人規模の乗客を運べる船もあるので馬鹿にできません。

インバウンド経済にも影響を与えうる存在です。

その意味でJR九州が発表した新型高速船
「クリーンビートル」も注目したいところです。

JR九州高速船は来年4月、福岡と韓国・釜山を結ぶ航路に
新型高速船「クリーンビートル」を導入すると発表しました。

 

1日2往復のうち、1往復を大型船に乗り換えることで、
1日あたりの定員を増やす計画で、JR九州の青柳社長は
「この船に乗ってオリンピックを見に来て貰えれば嬉しい」と
語りました。

以前のビートルが
鯨のようなものにぶつかるという事故を起こしたことも影響し、
新型ビートルは大型になっています。

現在、日本と韓国との関係性が悪化していて、
渡航注意情報も出ているので、
そもそも韓国から日本に来てくれる観光客が減るかもしれません。

その意味では、発表のタイミングが悪かったと思います。

 

 

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