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大前研一ニュースの視点

米朝関係 ~米朝直接会談の結果は、北朝鮮崩壊のシナリオしか考えられない

2019/01/29

・米朝関係 5月にも米朝首脳会談

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▼米朝直接会談の結果は、北朝鮮崩壊のシナリオしか考えられない
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米政府は8日、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩委員長の申し出を受け入れ、
直接会談に応じると発表しました。

米朝首脳会談が実現すれば歴史上初めてで、
朝鮮半島を中心とした東アジア情勢に大きな変化をもたらすとともに、
日本の外交・安全保障政策にも影響を及ぼすのは確実と見られています。

私はトランプ大統領の物事の進め方が好きではありませんが、
もしかするとこの交渉においては、トランプ大統領が圧勝してしまうかもしれません。

トランプ大統領はストリートファイターであり、
常にディール・交渉を前面に押し出してきます。

金正恩委員長との会談が実現した場合、
「ロケット開発、核開発をやめろ。やめなければ報復するぞ」
という態度で臨む可能性が高いと思います。

ここで金正恩委員長が受け入れなければ、
これまでのトランプ大統領のやり方からすれば、
すぐにでも戦争を引き起こす可能性があります。

「深刻さを見せつつ、すぐにでも殴り合う」
というやり方がトランプ大統領の特徴です。

私自身はこの手のやり方は全く好みではありませんが、
今回の北朝鮮との交渉においては功を奏するかもしれません。

その点から考えると、代理人ではなく、
トランプ大統領の特徴を活かして本人が交渉にあたるべきでしょう。

文在寅大統領の特使が北朝鮮に赴いた際に、金正恩委員長は
「体制が保証されるのであれば、核開発を中止しても構わない」
と述べたと言われています。

この発言が本当であれば、
かなり深刻な内容を含んでいると思います。

つまり、金正恩委員長が亡命を希望しているのではないかということです。

現実的に、北朝鮮において金王朝が平和的に存続していくことは不可能です。

「体制を保証する」という「体制」とは金正恩委員長自身と
そのファミリーのことを指しているのでしょう。

北朝鮮においてはそれ以外考えられません。

2歩先まで考えれば、金正恩委員長が望んでいるのは
亡命以外にはないと私は思います。

トランプ大統領がこの事を見抜いていれば、
逃げ場所を用意してあげるということができるはずです。

トランプ大統領は交渉してうまくいかなければ、
その場で戦争を始めるという決断さえしかねない人物です。

金正恩委員長がトランプ大統領と1対1の会談に臨むのは、
かなりのリスクを負っていると思います。

それでも、金正恩委員長がトランプ大統領に呼びかけたのは、
国を空けて海外に行くことさえままならず、
体制が内部から崩壊する寸前の北朝鮮の状況では、
なんとか体制を保証してもらって逃げ場を確保したい
という一心からの行動だと思います。

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▼文在寅大統領との交渉を行っても、行き着く先は北朝鮮の崩壊
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現状においては、中国もロシアも蚊帳の外に置かれています。

中国は6カ国協議の議長として対話路線を押していましたが、
米朝直接対話となったらそのメンツは丸つぶれもいいところです。

もし米国がプレッシャーを弱めれば、
文在寅大統領と金正恩委員長の直接対話の可能性がありますが、
この場合でも最終的に行き着く先は北朝鮮の崩壊だと私は見ています。

文在寅大統領と金正恩委員長の直接対話を行ったとして、
次に考えられるステップは平和条約の締結、
国交の正常化、戦争状態の終結になるでしょう。

このシナリオの場合、北と南の間をある程度
人々が自由に行き来できるようにならざるを得ません。

そうなると、北朝鮮は半年も持ちません。

これまで北朝鮮は、国民に対して「南側(韓国)は貧しい」
と騙してきたわけですが、その嘘が露呈してしまいます。

そうなれば、ルーマニアのチャウシェスクと同様、
民衆蜂起によって体制が崩壊するのは目に見えています。

北朝鮮は、韓国と平和的な話し合いが行われたとしても、
その結果としては体制の崩壊以外に道は考えられません。

かつてのロシアやアルバニアの例を見ても、
厳しい情報統制をしていた国家が、それを維持できなくなったとき、
全体主義国家は脆くも崩壊します。

今の北朝鮮においても、国民に実態が明らかになれば、
いかにバカなことにお金を使って自分たちが
貧しい生活をさせられてきたのかと分かってしまうでしょう。

トランプ大統領と直接会談、文在寅大統領との直接対話のいずれの道を通っても、
北朝鮮の金王朝は終わる可能性が高いと私は見ています。

その可能性がいよいよ高くなってきたとき、
中国や韓国は、金一族を受け入れる姿勢を見せるかも知れません。

想像よりも早く、北朝鮮の金王朝は崩壊していく可能性が高くなっていると思います。

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