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大前研一ニュースの視点

日産自動車~ゴーン氏の悪事は過去のこと。重要なのはルノー側との「交渉」の進め方

2019/01/29

・日産自動車 逮捕のゴーン会長を解任

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▼ゴーン氏の悪事は過去のこと。重要なのはルノー側との「交渉」の進め方
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日産自動車のカルロス・ゴーン会長と
グレッグ・ケリー代表取締役が金融商品取引法違反容疑で、
東京地検特捜部に逮捕されたことを受けて、
日産は22日臨時取締役会を開き、
両容疑者の解任を決定しました。

金融商品取引法などでは役員報酬を将来受け取る場合でも、
受取額が確定した年度に有価証券報告書に記載する
と規定しており、東京地検特捜部は、
ゴーン容疑者が高額報酬批判を避けるため、
過少記載を指示したと見て調べを進めています。

今回の逮捕劇を見ると、日産側が周到に
準備を進めていたことがわかります。

西川社長の記者会見ではゴーン氏による
会社の私物化について言及されていましたが、
私に言わせれば「ゴーン氏が悪い」というのは
すでに「過去形」で語られることであり、
今後の重要事項ではありません。

この問題はもっと色々な角度から見ることが必要です。

特に重要なのは、日産がルノーに対して
どのような「交渉」ができるか、ということです。

現状、ルノーは日産の大株主であり、
株式の43.7%(2018年9月30日現在。四半期報告書)
を保有していて圧倒的な主導権を持っています。

取締役会に役員も送り込んでいますし、
帳簿閲覧権も持っています。

私が日産側に立って交渉するなら、
まずルノーに大株主としての監督責任を強く追及します。

さらには、ゴーン氏はルノーが送り込んだ役員の一人ですから、
その点も強調して交渉に臨むでしょう。

そして同時に、今年までの予定だったゴーン氏の任期が
2022年まで延びた理由も追及します。

今年になってマクロン仏大統領と会ってから、
急にゴーン氏の任期が2022年まで延びて、明らかに
ゴーン氏の態度がフランス政府寄りに傾き始めました。

今年の5月に私が週刊ポストに寄稿した記事でも書きましたが、
ゴーン氏とマクロン大統領の間に何かしらの
「密約」があったのではないかと私は見ています。

ズバリ言えば、その内容はルノーによる
日産の完全統合だと思います。

マクロン大統領は、かつて経済・産業・デジタル大臣だった頃から
フランスに世界一の自動車メーカーを誕生させたい
と考えている人物です。

ドイツ、日本、米国、
そして将来的には中国にも世界一の覇権を争う
自動車メーカーが存在します。

これまでのフランスでは
その争いに参加することは難しい状況でしたが、
ルノー・日産・三菱連合となり、
それが視野に入ってきた今、マクロン大統領としては
長年の夢を実現させるべく動いていると思います。

これまでにもゴーン氏はフランス政府からルノーによる
日産の完全統合の打診は受けていたはずですが、
ずっとそれを拒否してきました。

ところが、
今年になって自分の人事と引き換えに
それを受け入れた可能性があります。

日産側はこの点を理解した上で交渉に臨まないと、
フランス政府・ルノー側の思うままに
完全統合されてしまうかもしれません。

この問題について世耕経済産業相も何やら発言していますが、
日産は政治家や役人の動きには特に注意すべきでしょう。

1980年代に東芝の子会社でもなく、独立した上場会社であった
東芝機械が不祥事を起こしたことがあります。

本来、東芝が責任を問われる必要はありませんでしたが、
当時の通産省は米国に媚を売って東芝の会長と
社長の首を差し出すような真似をしました。

政治家・役人というのは、こういうことをやりかねないのです。

こうした背景も理解しつつ、
日産は完全統合される道を避けるために、
どのような交渉のシナリオを描くのか?
非常に重要であり、かつ極めて難しい交渉が予想されます。

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▼日産はどのような交渉を持ちかけるべきか?
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今現在、ゴーン氏は会長職と代表取締役を解任されました。

ここまでは日産の取締役会の決議で可能でしたが、
取締役も解任するとなれば株主総会の決議が必要で、
臨時株主総会を招集しなければいけません。

株主総会の決議となったときに厄介なのは、
ルノーの持株比率です。ルノーは日産株の
43.7%を保有しています。

過半数を超えるためには、
通常は株主総会を開いて委任状争奪戦
(プロキシーファイト)になりますが、今回の場合、
ルノーは43.7%でも過半数になれる可能性があります。

というのは、日産ほどの大企業になると
全発行株式を集めるのは難しいので、
かき集めたとしても80%程度になります。

そうなると、ルノーの持ち分43.7%で
過半数ということになってしまいます。

そうなると、ルノーの賛成を得られなければ、
日産はゴーン氏もケリー氏も取締役を解任することはできません。

日産がこのシナリオを防ぐためには、
現在約15%保有しているルノーの株式を
25%まで買い増すことが必要です。

25%まで保有率を高めると日本の法律によって、
ルノーの議決権が停止するからです。

また、ルノー側がゴーン氏とケリー氏の解任動議に
賛成したとしても、安心はできません。

代わりに新たにルノーから2人の取締役が送り込まれたら、
元の木阿弥だからです。

日産側としては、
ルノーからの取締役は1人までにしてもらい、
代わりに会長職を渡すなどの交渉が必要でしょう。

そうなると、ルノー側から派遣する取締役の人数が減って、
日産によるルノー株の買い増しを
取締役会で決議されるかも知れません。

ルノーとしてはそのような事態を避けたいはずですから、
事前にそれだけは認めない契約を締結するように
求めてくる可能性があります。

私がルノー側の人間ならば、
日産の取締役会でマイノリティになるような事態は
何が何でも避けるように動きます。

逆に日産側の人間ならば、日産に対する完全子会社化をしない
という契約を取り付けるように動くでしょう。

それができないなら、今回の責任を大株主であるルノーに問い、
国際的な場で「争う」姿勢を見せます。

ルノーが送り込んだゴーン氏がどれだけ悪さをして、
日産の株主に被害を及ぼしたのかを交渉材料にするでしょう。

責任問題という意味では、ルノーから日産側の監督責任を
問われる可能性も十分にあります。

そうなると、
西川社長も無傷ではいられないと思います。

そこまで見据えて、シナリオを描いて交渉していく必要があります。

繰り返しになりますが、これは非常に難易度が高い交渉になると思います。

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▼ゴーン氏が居なくなっても、日産が傾くことはない
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世間ではゴーン氏が居なくなった後、日産は大丈夫なのか?
と心配する声もありますが、私は、全く問題はないと思っています。

そもそもゴーン氏がボロボロだった日産を
立て直したという認識が間違いです。

確かにゴーン氏は日産の「まずい部分」を直しました。

当時の日産には、官僚主義的な組合が多く存在しました。

また、関連会社、工場、あるいは下請け会社のトップには
日産本社社員の先輩たちがいたため、
本社が強い影響力を発揮することができない状況でした。

そうした「しがらみ」が日産を押しつぶそうとしていたのです。

当時の日産の社長だった塙義一氏は、
ゴーン氏を日産に連れてきた張本人ですが、
ある資料を読むと、ゴーン氏が実行したことは
塙氏も実行することは「可能」だったと述べています。

ただし、日産内部の人間である自分が実行すると
血を見ることになる、と。それゆえ、
日産内部の人間関係的な「しがらみ」がない
ゴーン氏のような部外者が必要だったのです。

そして、現実的に日産がV字回復を果たした
一番大きな要因は、日産の技術力が非常に高く、
元々日産が高いポテンシャルを持っていたからです。

ゴーン氏の経営手腕が優れていたからではありません。

その証拠に、ゴーン氏は同じように
ルノーの経営再建を図りましたが
日産のように上手く行っていません。

おそらくほとんどの人が、この事実を理解していないと思います。

ゴーン氏がいなくなったら日産が
オンボロ会社に戻るなどというのは、大間違いです。

今の日産は販売台数も伸びていますし、
かつてのように「しがらみ」にがんじがらめにもなっていません。

ゴーン氏が日本国内を軽視した結果、
今や日産の国内シェアは5位に落ちていて、
どちらかと言えば、日産は「世界の日産」
としての立場が強くなっています。

ルノーの利益に対しても、単純計算で、
2017年度の最終利益の約4割は日産が貢献しています。

このままルノーと日産が仲良くやっていけるのであれば、
それに越したことはありません。

しかし、
そう簡単に話がまとまるのか、まだわかりません。

日産としては、受け身にならずに
「攻め」の姿勢を持つことが重要だと私は思います。

ゴーン氏が不正を働いたのは、本当に日産だけなのか?
ルノーでも同じようなことがないのか?

私ならすぐにルノーに調べるように要請するかもしれません。

非常に難しい交渉になる可能性が高いので、
日産としては自らのシナリオを持ち、
「攻め」の姿勢で臨んで欲しいと思います。

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