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大前研一ニュースの視点

米マクドナルド・LIXILグループ・リクルートHD~日本市場の本質を理解していない米マクドナルド

2016/09/25

米マクドナルド:日本マクドナルド株売却をファンドなどに打診
LIXILグループ:藤森義明社長兼CEOが2016年6月に退任
リクルートHD:USGピープルを買収

 

米マクドナルドは、日本市場の本当の問題を全く理解できていない

米マクドナルドが約5割を握る日本マクドナルドホールディングス株の売却に向け、
大手商社や国内外の投資ファンドに打診を始めたことが21日わかりました。

最大約33%分を売却する方針で、外部の資本とノウハウを取り込み
低迷する日本事業の再建を急ぐ考えです。

私に言わせれば、この株を買う価値は全くありません。

米マクドナルドのフランチャイズ契約で縛られて、
ノウハウも商品も今まで通り提供を受ける限り、何の独立性もないからです。

極端なことを言えば、米マクドナルドと縁を切って、
モスバーガーと一緒に、ということはできません。

一番の問題は、米マクドナルドが日本マクドナルドの置かれている状況を理解していないことです。

私は何度も指摘してきましたが、日本の間食・昼食マーケットは
米国のそれとは全く事情が異なります。

ラーメン、うどん、牛丼、カレー、さらにはコンビニの弁当まで、
信じられないくらいバラエティに富んでいます。

日本マクドナルドにとって競合相手は、他のハンバーガー店ではないのです。

この点を理解していない米国マクドナルドから、いくらノウハウ提供を受けても
現状を打破することは難しいでしょう。

原田氏、カサノバ氏が失敗した理由も、ここにあると私は観ています。

結局、価格を上げ下げしたり、ハンバーガーの組み合わせを変えたり、
試行錯誤をしていたものの、米国マクドナルドのノウハウ範囲内のことでした。

本気で日本でマクドナルドを立てなおそうとするなら、間食・昼食マーケットを理解し、
その中で戦略を練る必要があると思います。

米国のフランチャイズ契約の範囲内で立て直しをするのは無理です。

米マクドナルドが株を売却して1000億円のキャッシュを手に入れるのは、
虫のいい話で何ら解決には向かわないと私は感じます。

もしフランチャイズ契約から自由にさせてもらえるのであれば、
非常に面白いことができるでしょう。

店舗展開しているロケーションは良いですし、
これだけ売上が下がったと言われている現状でも、
ファーストフード市場では未だにトップですから、余力はあります。

 

LIXILの経営は、藤森流=GE流/リクルートはもっと大きな買収を狙うべき

LIXILグループは21日、藤森義明社長兼最高経営責任者が2016年6月に退任し、
工具通販大手のMonotaRo(モノタロウ)の瀬戸会長が社長に就く人事を発表しました。

「会社を大きくしてきた自負がある。5年を1つの区切りで考えていた」
とかねて退任を検討していたと話し、子会社化した独グローエ傘下の
ジョウユウの不正会計問題について、進退とは「全く関係ない」と断言したとのことです。

藤森氏の実力については、以前のGEの業績を見ても疑う余地はありません。

日本でも数少ない「プロ経営者」と呼ばれる一人だと思います。

LIXILグループの経営にあたっても、海外戦略などは十分な成果を上げるなど、
ほぼ満点に近い評価を受けています。

唯一、従来からのチャネルである国内工務店との接点をもっと持って欲しかった、
と言われています。

数年前から後任選びの第3者グループを作り、検討してきた結果、
後継者として瀬戸氏を選んだと言うことですが、若干、用意周到に過ぎるとも感じます。

また、私ならば後継者は別の人間を選んだと思います。

というのは、藤森氏はLIXILのトップになるにあたり、
GEで一緒に働いていたトップ人材の部下数名を連れて来ているからです。

LIXILの経営にあたって、その部下たちと一緒に「藤森流=GE流」の仕事の進め方に変えました。

今後、経営を引き継ぐとすれば、そのやり方に精通している人材のほうが良いはずです。

私なら、外部の人ではなく、GEから一緒に来た人材の中から後継者を選びます。

逆に言えば、瀬戸氏が社長になった後、現在の仕事のやり方である
「藤森流=GE流」をどう継承していくのか、変えていくのか、苦労するかも知れません。

 

藤森氏は非常に優秀なプロ経営者ですから、今後も声がかかると思いますが、
もし次の会社に行くことがあるなら、自分の部下を連れていくことなく、
単独で乗り込んでもらいたいと思います。
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リクルートホールディングスは22日、オランダの人材派遣会社USGピープルを
14億2千万ユーロ(約1885億円)で買収すると発表しました。

TOB(株式公開買い付け)で全株式を取得するとのことで、
米国やオーストラリアの企業に続く買収により、人材派遣で世界6位から4位に浮上するとのことです。

この買収劇は、一言で言えば「小物」過ぎます。

リクルートは売上約6500億円、時価総額は2兆円を超えていますから、
もっと「大物」を狙うべきだと思います。

 

この程度の買収をしても、その後の伸びはたかが知れています。
国内ではEC等も手がけ、非常に上手くやっているリクルートですが、
今回の買収は規模的に小さすぎると感じます。

もっと高みを目指して欲しいと思います。



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