そこが知りたい情報チャンネル

このブログは、自分にとって参考になったことや活用できると思った記事をUPしていきます。

大前研一ニュースの視点

待機児童問題・空き家対策・ホテル規制緩和~突然の容積率アップ容認、国交省はその根拠を示せ

2016/09/25

待機児童問題 保育施設に国有地を活用
空き家対策 全国の空き家、空き地情報を集約
ホテル規制緩和 宿泊施設の容積率を緩和

保育施設に国有地活用も空き家バンクも、単なる選挙対策

財務省は、今夏にも社会福祉法人が国有地に保育施設をつくりやすくするための優遇策を設けます。

土地などを借りる際に支払う保証金の免除や国有地に関する情報提供の拡充が柱とし、
国有地の有効活用で待機児童の解消をめざす考えです。

選挙前ですから、聞き心地のいい施策は全部やっておこう、という魂胆でしょう。

ただし、待機児童問題の本質は、土地ではなく、厳しすぎる法律にあります。

いくら国有地を開放したところで問題解決にはつながらない、と私は感じます。

土地だけで解決すると思っているのならば甘すぎます。

同様に国土交通省が発表した空き家対策も、完全に選挙対策でしょう。

国土交通省が全国の空き家や空き地の情報を集約する見通しが明らかになりました。

地方自治体が個別に運営する「空き家バンク」の情報を一元化し、
購入希望者がインターネット上で条件に合う物件を見つけやすくするとのことで、
税制などでの空き家対策に加えて情報提供を拡充することで、
民間の不動産関連ビジネスの拡大につなげる狙いということです。

情報を一元化といっても、どのくらいメリットがあるのか疑問です。

新潟の人が沖縄の空き家を探すなら利用価値はあるかもしれませんが、
実際にはネット上に溢れている情報だけで事足りるケースがほとんどだと重います。

現在、総住宅数に占める空き家率は13%を超えてきています。

日本中、空き家だらけになってきています。

連載している雑誌の中で「持ち家を買ったほうがいいのか?賃貸のほうがいいのか?」
というような質問を受けることがあります。

空き家の状況に鑑みれば、借りたほうが経済的なメリットは大きく、
終の棲家とするのなら別ですが、若いうちからローンを組んで購入する必要はないでしょう。

空き家バンクを作るよりも、このようなお金の相談にのってあげるほうが
よほど役に立つと思います。

あくまでも、わかりやすい選挙対策という以上の意味はないでしょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ad#rekubig]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

突然の容積率アップ容認、国交省はその根拠を示せ

全国的なホテル不足を解消するため、宿泊施設の容積率の緩和を
検討していた国土交通省は、現在の1.5倍もしくは300%分の上乗せまでを認める方針を決めました。

新制度に基づくホテルは早ければ2016年度中に着工する見通しで、
20年の東京五輪・パラリンピックまでに整備が進みそうという見通しとのことです。

東京五輪に向けて、2000万人~3000万人の訪日外国人観光客を
受け入れる体制を作るどころか、現状宿泊施設の不足が深刻化しています。

シティホテル、ビジネスホテルともに稼働率は8割を超えて、時期によっては、
アパホテルでさえ1泊3万円という高騰ぶりです。

その対策として、国交省は突如として、宿泊施設の容積率を現在の
1.5倍もしくは300%分の上乗せまでを認める方針を打ち出しました。

「宿泊施設が足らないから、容積率を増やします」というなら、
なぜ最初から基準を上げておかないのか?物理的な理由はないのでしょうか?

あまつさえ、普通のビルでも一部を宿泊施設とすれば
容積率300%分の上乗せを認めるそうです。

一体、何を根拠として認めているのか、わかりません。

建物の上を高速道路が通っていて活用できない場合には、
その隣の建物に空中に建築をする権利を移せるというのも、その根拠が理解不能です。

容積率は安全性を基準として決められているべきです。

ところが、今回のことで建築基準法の基準は、
国交省が「適当に決めていただけ」ということがわかりました。

何ら数学的、科学的、物理的根拠もなく、国交省が条件を勝手に決めていたとすると、
独裁国家と同じだと私は思います。

安倍首相が訪日外国人観光客数3000万人を目指すと言ったから、
宿泊施設だけ特別扱いするというのはあり得ません。

今回の発表に対して、国交省は袋叩きにあうべきだと私は思います。

「今までの容積率の根拠を示せ」「宿泊施設だけを認める理由は何か?」
「安全性との関係性はどうなっているのか?」と。

普通の国であれば、厳しく追求するはずです。

それができないのが、今の日本です。

単なる選挙対策という意味の無さ以上に、この問題を通じて危機感を抱く部分です。



-大前研一ニュースの視点
-, , ,