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大前研一ニュースの視点

ホンダ/イギリス情勢~ホンダの決断と英国のEU離脱に関係はあるのか

・ホンダ 2022年までにイギリス工場を閉鎖
・イギリス情勢 最大野党・労働党8人が離党

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▼ホンダのイギリス工場閉鎖は、EU離脱の影響ではない
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ホンダは英国工場を2022年までに閉鎖すると発表しました。

欧州の四輪事業は販売低迷から赤字が続き、
工場の稼働率も低迷していました。

英国の欧州連合(EU)離脱に伴い欧州事業の不透明感が一段と
増したことから、英国における生産撤退に踏み切る考えです。

今回のホンダの発表は、「タイミングが悪かった」と思います。

日産が数週間前に、欧州市場向けのエクストレイルの生産拠点を、
当初計画の英国から日本の九州工場に変更すると発表していたため、
ホンダが工場を閉鎖して約4000名を解雇するということが、
より大きな事態として受け止められてしまいました。

そして何より、英国のEU離脱のタイミングと重なったことです。

英国メイ首相にも「ホンダの決定には深く失望している」と
言われてしまいましたが、今回のホンダの工場閉鎖は
英国のEU離脱とは本質的に関係ありません。

ホンダの世界戦略の中で欧州の事業展開が上手くいかないので
撤退する、というだけの話です。

実はホンダの車はあまり欧州では売れていません。

ホンダにしては珍しく買収なども仕掛けて、積極的に
欧州市場の開拓を試みましたが、英国での生産台数は
わずか年間16万台でトップのジャガー・ランドローバーが
約44万台、2位の日産もほぼ同じくらいの数字ですから、
半分以下の水準です。

ホンダが、発表のタイミングをずらして、
英国のEU離脱が何かしらの形で落ち着く3月29日以降にしていたら、
報じられているほど“衝撃”として受け止められることは
なかったでしょう。

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▼EU離脱の期限が迫る中、まず時間を止めることが大事
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英最大野党、労働党の穏健派議員8人は、党指導部が
EU離脱を支持していることや党内で人種差別、威嚇、暴言の
文化が拡大しているとして、先月19日までに離党しました。

一方、与党の保守党もメイ首相の離脱方針への反発から
議会採決への造反が相次いでおり、3月末に予定する
離脱に向けて、英国政界の混乱は一段と深まってきました。

最初に離党した7人に続いて1名加わり、合計で8人が
離党する事態になり、コービン党首には全く指導力がない
ということが判明してしまいました。

離党した8人が主張しているのは、
「再投票をやるべき」ということです。

同じ考えを持つ人は保守党の中にもいて、同様に3人が
離党しています。

議員全体の割合から見れば、11人はわずかですが、
今後この11人の勢いが増していく可能性は大いにある
と思います。

メイ首相を批判するコービン党首ですが、
もう1歩踏み込んで決断できていません。

「再投票する」とは明言せず、とりあえずメイ首相を
辞任まで追い込む動きを見せていますが、要するに
伝統的な野党のやり方を踏襲しているだけです。

また、他の内閣のメンバーも、日々意見が変わっている
ような様子で頼りになりません。

誰もが苦労しているメイ首相を目の当たりにしています。

しかし、メイ首相をクビにして自分が代わりに首相になろう
という人はいません。

誰も火中の栗を拾いたくないと思っているのでしょう。

メイ首相は、何度もEUに足を運んで相談していますが、
まともに取り合ってもらえていません。

メイ首相自身が英国議会で通せないものを、他国の人間が
合意したところで意味がない、とでも言われているのでしょう。

このような状況で、EU離脱の期限である3月29日は
刻一刻と迫ってきています。

期限を延長するなり、離党の届け出を撤回するなり、
何かしら時計の針を止める動きを取るべきだと私は思います。

とても期限までに事態を収拾できるとは思えません。

一方でEUから見ると、英国がEU離脱で苦しめば苦しむほど、
他の国の結束が強くなるという良い側面もあります。

例えば、デンマークなどは英国に続いてEUから離脱を
考えていた国の1つですが、これだけ苦労している姿を見て、
今はEU離脱はやめておこうという気持ちになっていると思います。

先日のフォーチュン誌に「アイルランドが冠をかぶる?」
という趣旨の記事が掲載されていました。

英国がEUを離脱した場合、アイルランドが取って代わって
漁夫の利を得るシナリオになるのではないか、ということです。

これは大いにあり得ると思います。

英国がEUを離脱するとなったら、スコットランド、
北アイルランド、ウェールズが英国から独立して、
それぞれがEUに残りたいというでしょう。

つまり、イングランドだけがEUを離脱するという構図です。

そのとき、中心勢力になるのは、アイルランドです。

しかし、もしその状況になると分かれば、そもそも
イングランドもEU離脱をするのをやめたいとなるでしょう。

何とも冗談でやっているのかと思うほど、おかしな事態になっています。

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