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大前研一ニュースの視点

H2Oリテイリング・ユニクロ・ベネッセHD・白元・シーガイア~顧客目線で企業を分析する

2017/08/07

H2Oリテイリング・ユニクロ・ベネッセHD・白元・シーガイア~顧客目線で企業を分析する

 

小売業界の革命H2O/ウルトラライトダウンはコンセプトが普通の服とは違う

日経新聞は、先月28日、『「ニッパチ」が消えたH2O』と
題する記事を掲載しました。

エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが運営する
阪急うめだ本店は、通常消費が盛り上がらない真冬の2月と
真夏の8月も変わらない売上高で推移し、
利益目標に達しているとのこと。

リピーターを増やすための品揃えやイベントなど、
同店の取り組みを紹介しながら、規模を追うより顧客満足度を高め、
安定的に稼げる仕組みを作ることが成熟時代の成長の条件であると
分析しています。

これは小売業界では画期的な事態です。あべのハルカスなど
大改装したにも関わらず、その効果が薄く、とんでもない
状況になっていますが、阪急うめだはオープン以来、
好調を維持し続けています。

ロケーションの良さもあるでしょうが、それだけで
片付けてはいけないでしょう。

イベント性を高めてフロアごとに様々な提案をする仕掛けを
作っていること、阪急沿線には高齢者が多いことから
外商に力を入れたこと、ネット通販も積極的に活用したこと、
これらの工夫の成果だと私は感じています。

小売業界においては、この阪急うめだの成功事例は
大きな研究テーマとして見るべきだと思います。

ユニクロは先月28日、「軽い」「薄い」「暖かい」を
コンセプトにした軽量ダウン「ウルトラライトダウン」
の販売を開始。

小さくまとめて折り畳める「コンパクトダウン」やベスト、
ジャケット、パーカーを取り揃えたもので、シーンや季節を
超えた新しい使い方を提案するということです。

この商品がヒットする可能性は非常に高いのではないかと
私は思っています。

私は世界中を飛び回って、かなり旅行している人間ですが、
それでも「温度・気温」を読み違えることはよくあります。

そんなとき、この折りたたみ式のダウンを持っていれば、
非常に助かるでしょう。

先日も北海道で予期せずコートを購入することに
なってしまったのですが、このウルトラダウンがあれば
避けられた事態です。

ファッションとして購入するというよりも、旅行するなら
「いざという時のために」「1人1つ」は持っておいたほうがいい、
という購買動機になるでしょう。

小さく折りたたんでアタッシュケースに入れておけば、
全く邪魔になりません。

このコンセプトが非常に面白いし、実際に旅行を
たくさんしてきた経験からも、
大いに需要が見込めると感じています。

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ベネッセ全体への影響を免れない/アース製薬&白元、シーガイヤそれぞれの課題

ベネッセホールディングスが先月31日発表した
2014年4~6月期の連結決算は、
136億円の最終赤字になりました。

4~6月期として初の最終赤字です。

通信講座などの顧客情報の漏洩で、おわびにかかる費用など
260億円の特別損失を計上したとのことです。

問題が業績に与える影響を見積もれないとして、
15年3月期の業績予想を取り下げたそうですが、
実際今回のことが影響して、どれほど進研ゼミへの入会者数が
減るのか予想するのは難しいでしょう。

ベネッセは英会話教室のベルリッツを買収するなど、
多角化も進めていますが、やはり未だに国内教育の占める割合は
大きいので、今回の事件がベネッセ全体に及ぼす影響は
無視できないと思います。

また、民事再生手続き中の日用品メーカー、白元は先月31日、
再建に向けた支援を受けるスポンサーに殺虫剤大手の
アース製薬を選んだと発表しました。

「従業員の雇用やブランド維持の観点から、
アース製薬がスポンサーとして適任と判断した」とのことで、
アースは8月8日に受け皿会社、白元アースを設立し、
9月1日に白元の全事業を75億円で引き継ぐ予定とのことです。

アース製薬が引き受けた事自体、私は悪いことではないと思っています。
しかし、懸念している点もあります。

それはアース製薬と白元の事業が一部重なっていることです。
そのことが相乗効果につながればよいですが、
逆効果になるリスクもあり得ます。

この先、白元部隊とアース部隊の領域を整理し、一緒にやるべき分野、
シナジーを発揮できる分野、別々にやる分野などを
明確にしていく必要があります。

これが非常に大変な作業になるでしょう。

またアース製薬はすでに180億円で買収したバスクリン事業についても、
これから力を入れていかねばならない状況です。

やや取り組むべきテーマが多すぎて、
1つ1つに集中しきれないのではないかと懸念しています。

大型リゾート施設「シーガイア」を運営するフェニックスリゾートは1日、
閉鎖中の世界最大級の屋内プール「オーシャンドーム」を取り壊すと
発表しました。

オーシャンドームは1993年に開業したシーガイアの目玉施設として
420億円をかけて建設、利用者の減少で2007年に閉館していました。

あまりに巨大な施設で、壊すにも費用がかかるので壊すに壊せない
状態でしたが、ついに老朽化で改装費用が多額になるため
取り壊しが決まりました。

壊した後は、残る8万平方メートルの土地の有効活用を
考えなくてはいけません。

何とも巨大すぎて、手に余ります。

シーガイアには、もう1つ巨大なカンファレンスホールがあって、
これも巨大さゆえに有効活用しきれずに困っています。

シーガイアといえば、80年代銀行から多額の融資を受けて、
ハワイを彷彿とさせる豪華な施設を作りましたが、
航空運賃が下がり「本物のハワイ」に行く方が
安くなってしまいました。

「本物よりも高額な偽物」では、まさに本末転倒でした。

そんな施設をようやく取り壊しとなったわけですが、
すでにゴルフ場もありますし、残った土地の有効活用は
一筋縄ではいかないでしょう。

取り壊し後も、まだまだ課題は山積み状態だと
言わざるを得ないでしょう。



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