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大前研一ニュースの視点

米GE・米ウエスチングハウス・三菱重工業~米GEブランドが利用できるメリットは無限大

2016/09/25

米ゼネラル・エレクトリック:中国・海爾集団に事業売却へ
米ウエスチング・ハウス:CB&I原子力子会社を買収
三菱重工業:相次ぐ大型案件「納入延期」

米GEブランドが利用できるメリットは無限大

米ウォール・ストリート・ジャーナルの電子版は14日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が
家電事業を中国・海爾集団(ハイアール)に40億ドル(約4700億円)以上で
売却することで近く合意すると報じました。

GEは家電事業を欧州家電大手エレクトロラックスに売却することで14年に合意していましたが、
米司法省が「米国の消費者の不利益になる」と差し止めを求め提訴。15年12月に断念していました。

これは日本企業にとっては「最悪」の事態と言っても良いでしょう。

ハイアールといえば、中国国内ではトップシェアを争う企業ですが、
海外では大したレベルにはありません。

また、アジアでの展開にあたっては、かつて買収した三洋電機の
「アクア」ブランドを使うほどですから、「ハイアール」には殆どブランドはありません。

そんなハイアールが、米国で圧倒的な支持を得ている「GE」ブランドを
使えるようになるというのですから、驚きです。

IBMがレノボを売却した際には、「IBM」という名称を利用できる期限は設定されていたはずです。

今回のGEブランドの期限については、新聞には特に記載がありませんでしたが、
おそらく数年間の設定があるはずです。

万一、未来永劫「GE」ブランドを使えるのなら、パナソニックなどは1兆円支払っても安いと私は思います。

ブランドを確立するのは、時間と労力が大変です。その上、途中で失敗するケースがほとんどです。

日本企業はどんなに努力しても、米国の白モノ家電市場では成功できませんでした。

それを米国で圧倒的な地位を築いている「GE」ブランドを使えるのですから、
ハイアールにとってみれば買収金額4700億円など安すぎるくらいです。

これまでの実例で見れば、米国の白モノ家電市場への参入をトライしても、
4700億円の損失を計上して失敗に終わる、というのが普通です。

結局のところ、なぜスウェーデンのエレクトロラックスを拒否して、
ハイアールを選択したのか私には理由がわかりませんが、
日本勢もこのディールに絡むことが出来なかったのが、何とも悔しい限りでしょう。

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三菱重工のMRJの先行きにも不安あり

東芝傘下の米ウエスチングハウスは5日、米エンジニアリング大手CB&Iから、
同社の子会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスターを買収したと発表しました。

これにより、ウエスチングハウスは米国での原子力新設プロジェクトの一元管理体制を整え、
建設コストの増大や工程の遅延など直面する課題の解決を図る考えです。

東芝は原子炉をどうするのか?ということで、未だに審議中だと思いますが、
米国ウエスチングハウスは、さっさと一体化して一元管理体制を整えようとしています。

これにより福島第一原発のような事故が起こらない新型炉を開発していくことができます。

東芝はいずれ原子力を手放さずにはいられない状況に追い込まれると思います。

J-CASTニュースは11日、三菱重工で相次ぐ大型案件「納入延期」と題する記事を掲載しました。

国産ジェットMRJの初飛行に沸いたばかりの三菱重工業で、
2015年末にかけて異変が相次いだ、と紹介。

今のところ、これらが経営の屋台骨を揺るがすことはないとするものの、
日本を代表する製造業にも死角が全く無いとは言い切れないと指摘しています。

三菱重工の財務状況を考えると、大型客船の納期遅延その他で、
約1600億円の特損を計上しても1年は何とか耐えられるはずです。

大きな問題だと思うのは、大型客船で3回火災が発生していること。

どこかに気の緩みがあると感じます。

またMRJについても、今回話題になっている遅延原因は、かなりシリアスなものです。

主翼が米国の対空試験に耐えられないかもしれず、設計のやり直しになる可能性もあるとのことです。

米国の試験では、通常使用の150%の負荷をかけて主翼の耐久性を確かめます。

これは相当厳しい試験です。

三菱重厚にとって少し気の毒なのは、当初主翼には炭素繊維強化プラスチック(CFRP)複合材を
用いる予定でしたが、主翼の形状から断念し、アルミニウム合金に変更しています。

もしかすると、これが150%の負荷に耐えられないかも知れません。

万一、設計のやり直しとなれば、今後の見通しはつかない状況になるでしょう。

MRJの先行きも不透明な部分があります。大型客船で火災を発生させている場合ではありません。

どこかに気の緩み、工程管理の甘さ、緊張感の欠如があったはずです。

今一度、気を引き締めて欲しいと思います。



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