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週末だけのグローバル投資コラム

ITバブル期との類似点 (2)イールドハンティング(利回り狩り)で米国に投資集中

2019/01/28

米国がいよいよ、利上げ態勢に入りました。

イエレンFRB議長が週末の講演で

「フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はこの数カ月で強まったと考えられる」

と発言したのです。

これによって米金利が上昇し、ドル高が進みました。

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これは驚きではありません。

弊社の会員さん向けメルマガでは、
「利上げ態勢に入った」と先週から書いていました。

先週はNY連銀のダドリー総裁が、
今週はフィッシャーFRB副議長がぞれぞれ9月利上げをほのめかしていました。

「ノーサプライズ」の鉄則に沿って、
イエレン議長の前に露払い役を買って出たのでしょう。

サプライズで市場操作を狙う日銀とは好対照です。

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しかし、利上げをすれば米国のインフレは収まるのでしょうか?

1990年代後半のITバブルでは、不思議な現象が起こりました。

米国が利上げをしても、長期金利はあまり上昇しませんでした。

好景気の終わりに出現し、いつも長続きしないはずの逆イールド
(短期金利が長期金利を上回る状態)がずっと続きました。

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そして株価は上がり続け、「資産効果」で消費が増えました。

強烈な資産インフレに驚いたFRBは、連続的に利上げをしました。

(ただし消費者物価はそれほど上がりませんでした)

それでも株価は上がり続け、これまでの経験では説明不可能なレベルに達しました。

しかしバブルはついに崩壊。

そこから3年近い下落相場が続いたのです。

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その当時、金利が低い円を借りて金利が高いドルを買う「キャリー取引」が流行しました。

円キャリーとも、ドルキャリーとも呼ばれます。

持っているだけでも高い金利差(スワップ)が得られます。

ドル高になれば値上がり益も得られます。

みんながそれを期待してドルを買うので、ドル上昇が本当に起こります。

だから、みな円で借金をして米ドルを買ったのです。

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「低い金利の通貨で調達して、高い金利で運用する」

これはFX投資家でも、不動産投資家でもやっている基本的な運用手法です。

うまく行っているうちは、これ以上の方法はありません。

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しかしその期間が長引けば長引くほど、みなが同じことをやります。

限界まで借金をした人のほうが、収益が高くなります。

買われた資産は説明不可能なレベルにまで値上がりし、あるとき突然に大崩壊します。

これがバブルとその崩壊のメカニズムです。

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FRBのイエレン議長は、昔からこれを恐れています。

彼女はたびたび、「イールドハンティング」という言葉を使っていました。

これは高い利回りを求めて、リスクの高い投資を拡大しすぎることを指しています。

キャリー取引もサブプライムも、原因はだいたい同じ。

行き過ぎたイールドハンティングの結果なのです。

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その背景には、低金利で資金を調達できる環境があります。

今は日本も欧州もマイナス金利。

イールドハンティングによって米国に資金が集中する条件は揃っているのです。

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